第5回自然科学研究機構シンポジウム
「解き明かされる脳の不思議―脳科学の未来」(2008年3月20日開催)
講演者への質問とその回答



当日参加者の皆様から寄せられた質問に対する講演者の先生方からの回答です。


質 問

※質問をクリックすると、回答へジャンプします。



Q1:質量顕微鏡について、教えてください。これは生体を生きたままで撮影することは可能でしょうか?

Q2:savantやasperger症候群のカメラ様記憶の場合には、スクラッパーが全くか、ほとんど働かないということですか?彼らはシナプス構築分子が記憶で飽和することはおきないのですか?

Q3:質量顕微鏡を用いて、ある情報を記憶した脳と記憶していない脳で違いが生じるという話をされたと思います。情報の種類による違い(質量の増加部位の違い等)はありますか?

Q4:記憶のたとえで出てきたソロバンのことですが、ソロバンの玉はどんな物質なのですか?それを見つけた人の名前と論文を教えてください。いつも面白い講義をしてくださってありがとうございます。研究の発展をお祈りしています。

Q5:質量顕微鏡は生きたまま見ることができるのですか?人間も生きたまま?その場合、からだに何も影響はないのですか?

Q6:キオクはシナプスの「こん跡」によるとのことですが、神経細胞の多くの部分を占める中央のDNAは何の役を果たしていますか?

Q7:記憶のセンサーとされる海馬にはacetyl choline がNeurotransmitterで、GABA作動性でないと思いますが…。アリセプトとcholinesteraseのinhibitorですし…。

Q8:人間は、意識的に忘れる(記憶を消す)ことが出来るようになるでしょうか?

Q9:寝ている間の聞こえたり、触ったりしたものは記憶される場合があるのでしょうか?

Q10:過度のストレスが心を病む今日に、心=脳を健康に維持できるようにするためには、どのように脳の機能を利用すればよいのでしょうか?ある日、突然それまで信じていた価値観が全く変わってしまった時、脳の中では何が起こっているのでしょうか。それに対応できるようにするには、どのような学習をすればよいのでしょうか?

Q11:
1. 質量顕微鏡で○○の記憶状態の画像は□□と、特定できるようになっているでしょうか。(ナメクジ、アメフラシ〜ネズミレベル)。
2. 温度・電流のグラフで、電流軸を上下逆にとる理由は何でしょうか?
3. シナプス構築分子の輸送モーターは上にしか行かないスイッチとのことだが、下等生物からすべて共通でしょうか?上下に動くスイッチの方が便利とも思えますが、そのように生物が進化しなかったの要因、上方向のみのスイッチとシナプス分解機構のメリットは何でしょうか?


Q12: 余剰シナプスの除去は瀬藤先生の忘却の仕組みによるものですか?

Q13:
1. 非揮発性の記憶には破壊防止作用が併存しているのでしょうか。
2. 記憶の速い人、量の多い人は具体的にどんな回路(そうでない人に比べて)になっているのでしょうか。よく使う回路は太くなっていて通りも良く、記憶に良いと思います(形態的変化が)。

Q14:鍋倉先生の発表で、発達に従って脳機能は大きく変わるということをお聞きしました。そこで疑問なのですが、新生児の奥行きを認知する能力は大人と同じなのでしょうか?また、違いがあるとすればどのように発達するのでしょうか?

Q15:
1. 植物にも「脳」があるのではないでしょうか?動物とは異なった姿で情報伝達系もあるのではないでしょうか?
2. (本日のテーマから外れますが)巨木が自身の体重を支え、しかも水を吸上げる動力源は何でしょうか?(サイフォン原理や浸透圧では説明がつかない)
3. スギナのような雑草が、コンクリートやアスファルトを圧上げて成長する力は何によるのでしょうか?(分泌物による岩石の溶解では説明がつかない)


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回 答

Q1:
質量顕微鏡について、教えてください。これは生体を生きたままで撮影することは可能でしょうか?

A1:
表面だけなら可能です。(回答者:瀬藤先生)


Q2:
savantやasperger症候群のカメラ様記憶の場合には、スクラッパーが全くか、ほとんど働かないということですか?彼らはシナプス構築分子が記憶で飽和することはおきないのですか?

A2:
興味深い質問ありがとうございます。まだ誰も調べていないのでわかりませんが、可能性はあると思います。一般的に言うと脳の全体の中で記憶に使っている部位はごく一部で、特殊な病形では記憶に使用する領域が増えているかわりに、他の能力が減退していることが知られています。(回答者:瀬藤先生)

Q3:
質量顕微鏡を用いて、ある情報を記憶した脳と記憶していない脳で違いが生じるという話をされたと思います。情報の種類による違い(質量の増加部位の違い等)はありますか?

A3:
興味深い質問をありがとうございます。今後調べていきたいと考えています。(回答者:瀬藤先生)

Q4:
記憶のたとえで出てきたソロバンのことですが、ソロバンの玉はどんな物質なのですか?それを見つけた人の名前と論文を教えてください。いつも面白い講義をしてくださってありがとうございます。研究の発展をお祈りしています。

A4:
いろいろありますが、わかりやすいのはグルタミン酸受容体です。中西重忠京大名誉教授、三品東大教授がクローニングしました。Nature 349, 760 - 765 など。(回答者:瀬藤先生)

Q5:
質量顕微鏡は生きたまま見ることができるのですか?人間も生きたまま?その場合、からだに何も影響はないのですか?

A5:
表面だけなら可能です。ほとんど影響ないです。(回答者:瀬藤先生)

Q6:
キオクはシナプスの「こん跡」によるとのことですが、神経細胞の多くの部分を占める中央のDNAは何の役を果たしていますか?

A6:
記憶物質も含む、物質の合成に必要です。DNAは生まれてからほとんどかわりません。お父さんがいくら勉強しても、遺伝子的に子供の頭がよくなることはありません。(回答者:瀬藤先生)

Q7:
記憶のセンサーとされる海馬にはacetyl choline がNeurotransmitterで、GABA作動性でないと思いますが…。アリセプトとcholinesteraseのinhibitorですし…。

A7:
御質問ありがとうございます。海馬の興奮性シナプスのほとんどはグルタミン酸作動性です。そのように御説明したつもりでしたが、うまくお伝えできなかったようで申し訳ありませんでした。GABAは抑制性の神経伝達物質であり、ご指摘のアセチルコリンは最もメジャーなトランスミッターではありません。(回答者:瀬藤先生)

Q8:
人間は、意識的に忘れる(記憶を消す)ことが出来るようになるでしょうか?

A8:
PTSDの治療はまさにそのことを目指しており、心理学的もしくは精神医学的、心療内科的、薬物的、さまざまな工夫があり、現在もなされております。(回答者:瀬藤先生)

Q9:
寝ている間の聞こえたり、触ったりしたものは記憶される場合があるのでしょうか?

A9:
あると思います。記憶するために必ず意識のフィルターを通らないといけないということではないようです。(回答者:瀬藤先生)

Q10:
過度のストレスが心を病む今日に、心=脳を健康に維持できるようにするためには、どのように脳の機能を利用すればよいのでしょうか?ある日、突然それまで信じていた価値観が全く変わってしまった時、脳の中では何が起こっているのでしょうか。それに対応できるようにするには、どのような学習をすればよいのでしょうか?

A10:
非常に興味深い質問ですね。ありがとうございます。環境が変わった時に、なんとかこれまでのやり方で頑張ろうとするか、柔軟もしくは無節操に新しいやり方を試すか、個人レベルでは大変に難しい問題ですが、種全体で見た場合はどちらの個体も用意してうまくいった方が生き残るという戦略をとっているようで、そのために個体ごとに個性があると考えられています。ですので、一人一人が自分に合った対応をするのが正解ではないでしょうか。(回答者:瀬藤先生)

Q11:
1. 質量顕微鏡で○○の記憶状態の画像は□□と、特定できるようになっているでしょうか。(ナメクジ、アメフラシ〜ネズミレベル)。
2. 温度・電流のグラフで、電流軸を上下逆にとる理由は何でしょうか?
3. シナプス構築分子の輸送モーターは上にしか行かないスイッチとのことだが、下等生物からすべて共通でしょうか?上下に動くスイッチの方が便利とも思えますが、そのように生物が進化しなかったの要因、上方向のみのスイッチとシナプス分解機構のメリットは何でしょうか?

A11:
記憶があるかどうかは推定できますが、内容は暗号のようになっており解読できていません。アメフラシでは”好き””嫌い”程度ですので推定できます。二番目の質問はおそらく富永先生への質問でしょうか?三番目の質問ですが、下方向のスイッチはまず上方向のスイッチで上に運ばないといけないので、二度手間になってしまい、制御機構が複雑になるからだと個人的には考えています。スイッチも記憶物質も合成は細胞体のDNA(この場合下方向)を必要とすることが電気回路と異なる縛りになっています。(回答者:瀬藤先生)

Q12:
余剰シナプスの除去は瀬藤先生の忘却の仕組みによるものですか?

A12:
良い質問ですね!さてはプロの方ですね。近々調べてみたいと考えております(回答者:瀬藤先生)

Q13:
1. 非揮発性の記憶には破壊防止作用が併存しているのでしょうか。
2. 記憶の速い人、量の多い人は具体的にどんな回路(そうでない人に比べて)になっているのでしょうか。よく使う回路は太くなっていて通りも良く、記憶に良いと思います(形態的変化が)。

A13:
御質問ありがとうございます。私もそう思います。今後調べていきたいと思います。(回答者:瀬藤先生)

Q14:
鍋倉先生の発表で、発達に従って脳機能は大きく変わるということをお聞きしました。そこで疑問なのですが、新生児の奥行きを認知する能力は大人と同じなのでしょうか?また、違いがあるとすればどのように発達するのでしょうか?

A14:
生後6ヶ月で奥行き知覚が可能になることが確かめられています(「視覚的断崖」で検索してみてください)。ただし、認知となる知覚機能の発達以外にいろいろな要素が入ってきますので、簡単に述べることはできません(たたえば「3つの山問題」で検索してみたください)。(回答者:泰羅先生)

Q15:
1. 植物にも「脳」があるのではないでしょうか?動物とは異なった姿で情報伝達系もあるのではないでしょうか?
2. (本日のテーマから外れますが)巨木が自身の体重を支え、しかも水を吸上げる動力源は何でしょうか?(サイフォン原理や浸透圧では説明がつかない)
3. スギナのような雑草が、コンクリートやアスファルトを圧上げて成長する力は何によるのでしょうか?(分泌物による岩石の溶解では説明がつかない)

A15:
1. 植物にも近距離の細胞間には化学物質を通じた情報伝達系はあるが、脳のような電気信号による遠距離情報伝達はないと考えられている。
2. 木が自身を支えられるのは、固い細胞壁の頑丈さによる。細胞壁は多糖類(いわゆる木質)で出来ており、動物細胞にはない。水を吸い上げる動力源は毛管作用+浸透圧ということらしい。 根の中はイオン、物質濃度が高いので、周りから水が浸み込もうとする(浸透圧)。さらに水を運ぶ管は細いので毛管現象で上昇する。この両者で10m以上に水を押し上げる。
3. 細胞が徐々に増えていくとき、周りにモノがあるとそこで成長は止まる。しかし、植物のように強い細胞壁を持つものは浸透圧により膨張するとき、周りに強い力を与えることができる。この力が破壊力を持つと考える。
(回答者:永山先生)


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