大学共同利用機関は、研究者コミュニティによって運営され、国内外の研究者に研究の場を提供し、先端的な共同研究を行う中核的研究拠点です。

大学共同利用機関は、世界に誇る我が国独自の「研究者コミュニティーによって運営される研究機関」であり、全国の研究者に共同利用・共同研究の場を提供する中核拠点として組織されました。このような機関としては、京都大学の一施設であった基礎物理学研究所(湯川記念館)が1953年に全国の理論物理学者の要望に応えて開放され、共同利用施設となったのが最初です。重要な研究課題に関する先導的研究を進めるのみならず、全国の最先端の研究者が一堂に会し、未来の学問分野を切り拓くと共に新しい理念の創出をも目指した活動を行う拠点として、個別の大学では実施困難な機能と場を提供するのがその特色です。その後、自然な流れとして、「大型施設の共同利用」や「学術資料等の知的基盤の整備」など、共同利用の新しい概念が加わり、研究者コミュニティーによる運営方式を堅持しつつ、特定の大学には属さない多くの大学共同利用機関が設立されました。

全国の国公私立大学の研究者のための学術研究の中核拠点として、個別の大学では整備や維持が困難な、
- 先導的共同研究や新分野開拓の場
- 大規模な施設や設備
- 膨大な学術資料やデータなどの知的基盤
を全国の研究者の利用に供し、効果的な共同研究を実施することで、我が国の学術研究の発展に重要な貢献をしています。


大学共同利用機関は、独自性と多様性を持ちながら、それぞれの研究分野における中核的研究拠点(COE:Center of Excellence)として、重要な研究課題に関する先導的研究を進める世界トップレベルの研究機関で、海外の研究機関や研究者との協力・交流を推進し国際的中核拠点としての役割をも果たしています。
【4つの大学共同利用機関法人とそれを構成する大学共同利用機関】

大学共同利用機関は、世界に誇る我が国独自の学術研究推進のシステムです。それぞれの大学共同利用機関には、外部の研究者を含む運営会議や各種の委員会が設置され、研究者コミュニティーに開かれた運営がなされています。また、大学の研究者による円滑な共同利用、共同研究を図るため、教員制度、中期目標・中期計画に基づく運営、評価システムなど、国立大学法人に準じたものとなっています。


大学共同利用機関である自然科学研究機構の5研究機関(研究所)は、それぞれの分野において次のような特徴的な共同利用・共同研究を行っています。
国立天文台
わが国の天文学の中核的研究機関として世界第一線級の宇宙観測施設を擁し、天文学および関連分野の発展に寄与しています。大型施設としては、天文学分野において、大学等で建設・維持することが困難な大型望遠鏡(ハワイ観測所におけるすばる望遠鏡、野辺山宇宙電波観測所の45mミリ波望遠鏡、野辺山太陽電波観測所の電波へリオグラフ、岡山天体物理観測所における光学赤外望遠鏡、VERA観測所の4基の20mアンテナなど)やスーパーコンピュータなどの研究施設を開発・建設・運営することにより、自らの研究を推進すると共に大学等の研究者に望遠鏡などの研究手段を共同利用・共同研究の形態で提供しています。提供する研究施設等の開発・運用を効率的にかつ合目的的に遂行するために、国立天文台は、主要施設等ごとに明確な目的と計画及び人員構成が明らかな機動的研究チームを設け、それらをプロジェクト室と呼んで、研究の推進、共同利用・共同研究の実施に努めています。(各プロジェクトは、進捗段階の違いによりA、B、Cの3種類に分けています。) また、大学との連携事業として、大学に設置された電波望遠鏡のネットを組んで超長基線電波干渉計(VLBI)網を構築し、連携事業を推進しています。更に様々な大学と協定に基づき天文学の推進に関する協力事業を進めています。 更に、新たな大型共同利用装置の開発・建設に向けて、アタカマミリ波サブミリ波干渉計計画(日米欧国際協力事業)、東アジアVLBIネットワークの構築など、国際協力事業を展開しています。今後これらの観測装置は国際的な枠組みの中で、共同利用活動を進めていく予定です。
核融合科学研究所
安全で環境にやさしい新しいエネルギー源となる地上の太陽、制御核融合の実現のため、高温・高密度プラズマの生成・閉じ込め実験やプラズマ物理のシミュレーション等により核融合プラズマの機序の解明と核融合炉に必要な理学的および工学的課題の解決をはかり、核融合科学の体系化をめざしています。大型施設としては、LHD(大型ヘリカル装置)やスーパーコンピュータがあり、国内外の研究者との共同利用・共同研究をすすめています。「一般共同研究」では、大学等の共同研究者が核融合科学研究所の実験装置や設備を使うことによって共同利用・共同研究を進めるもので、「LHD計画共同研究」では、大学等で育まれている各種の研究、萌芽的研究、技術等をLHD実験に適用・集約するため、大学等で先ず研究・開発するための共同研究を行っています。また、「双方向型共同研究」は、筑波大学プラズマ研究センター、京都大学エネルギー理工学研究所附属エネルギー複合機構研究センター、大阪大学レーザーエネルギー学研究センター、九州大学応用力学研究所高温プラズマ力学研究センターと核融合科学研究所の共同研究者が互いに往来し、両者の研究資源の相乗的な活用をはかるものであり、これにより核融合科学研究所が核融合コミュニティと連携して核融合研究に必要な重要課題を効率的に解決して行くことが可能となりました。 これらの共同利用・共同研究と共に、核融合科学、プラズマ科学、核融合炉工学分野の多数の研究会が開催され、また核融合研究情報データベースが整備・公開されるなど、全国の研究者の交流、情報交換の場が提供されています。また、核融合科学研究所は、日米・日中・日韓・日露・日豪・日欧等の二国間協定、ステラレータ・テキストール・球状トーラス等の多国間協定や海外研究機関との研究所間学術交流協定を締結し、国際土岐コンファレンス等の国際会議を主催するなど、核融合科学の国際共同研究を積極的に推進しています。
基礎生物学研究所
生命の営みの基本をなす重要な現象を取り上げて、生物現象に普遍的なメカニズムを定量的に解明しようとする分子生物学の理念を導入し、理念の共有を実践することによって、設立当時は記述的学問が主流であった動物学や植物学を、新しい基礎生物学に変革するために主要な役割を果たして来ました。大型施設としては大型スペクトログラフがありますが、基本的にスモールサイエンスである分子生物学を方法論の基盤におく基礎生物学研究所においては、共同利用の主要なものは、モデル生物(メダカ等の小型魚類、シロイヌナズナ、ヒメツリガネゴケ等)や分子生物学の最先端技法の開発と普及のためのワークショップ開催やリソース提供、トレーニングコースを通じた実験手技の研修と普及、ネットワーク上のデータベース公開など、ソフトの共同利用であります。また個々の研究部門が実施する個別共同研究により、研究者コミュニティの中心として機能しています。
現代の分子生物学は生体の構造と機能の要素的理解を可能にしましたが、それだけでは統合的理解が困難な生物現象を、新しい観点の創出によって解明することを目指しています。そのために本研究所は研究体制を整備し、いくつかの創造的分野の開拓を手がけ、これらの分野における研究者コミュニティの確立を図っています。今後、生物学の新展開の核となることが予想される分野についてOBC(生物学国際高等コンファレンス)を開催するなど、新分野の開拓に踏み込んだ共同利用機関のあり方を目指しています。また、本機構とEMBL(欧州分子生物学研究所)との共同研究では、バイオイメージングを第1の課題として共同実験施設を所内に設置するなど中心的な役割を果たしています。
生理学研究所
人間がよりよい健康な生活を送れるように、医学の基本である「正常な人体の機能の仕組み」を解明するとともに、その異常としての各種疾患の「病態生理のメカニズム」を明らかにすることを目指しています。そのため、医学・生理学分野を中心とした研究コミュニティとの密接な連携の下に、広範囲かつ綿密な共同研究を行っています。
「一般共同研究」は、特にテーマを設けずに様々の研究分野より幅広く共同研究のプロジェクトを公募選別して行う共同研究であり、毎年30件以上の研究プロジェクトを実施しています。「計画共同研究」は、時代の要請に応じたテーマを定め、そのテーマについて共同研究者を公募して行うもので、こちらも30件程度の研究プロジェクトを実施しています。
大型施設としては、磁気共鳴画像測定装置(fMRI)、脳磁場測定装置(MEG)及び、超高圧電子顕微鏡を有しており、「施設利用」という形でこれらの施設を、当該分野コミュニティの研究者の利用に供しています。このような「施設利用」の共同研究も毎年約40件以上行われています。
さらに、当該分野の特定の課題に関する討論を深め、更なる新しい発展を探るための有効な手段として、所外の研究者の提案を基にしたワークショップである「生理研研究会」を毎年およそ25回開催しています。また、当該分野のCOE研究機関として海外研究者との協力の推進及びインターフェイスとしての役割をも果たしており、毎年、10名以上の外国人研究者を招聘して国際研究集会(生理研国際シンポジウム)を開催しています。
分子科学研究所
物質の基礎的な構成要素である分子、および、その集合体の構造と機能を実験的・理論的に明らかにする研究における中核機関として、様々な科学の領域に共通する知識と方法論を提供し、望ましい機能をもつ新物質の創製、エネルギーの有効利用、環境問題への対応などにも貢献することを目指しています。また、統合バイオサイエンスセンター(岡崎共通研究施設)との連携のもと、生命科学への展開も推進しています。 大型施設としては、極端紫外光研究施設、および、計算科学研究センター(岡崎共通研究施設所属だが、分子科学研究所が中心となって運営)を維持・運営し、「施設利用」という形で全国の研究者の共同利用に供しています。また、分子制御レーザー開発研究センター、分子スケールナノサイエンスセンター、機器センターなどにおいても、先端的な装置を共同利用に供すると共に、測定法や物質合成手法の開発等を所外研究者との連携の下で行う「課題研究」を実施しています。さらに、所内の研究資源を広く解放し、個別なニーズに応じて共同利用研究を行う「協力研究」も実施しています。 また、これらのハードウェアを中心とした共同利用に加え、特定の課題に関する討論を深め新しい発展を探るための有効な手段として、所外の研究者の提案を基にした「分子研研究会」を毎年複数個開催しています。更には、分子科学のCOE研究機関として海外研究者との協力を推進し、国際研究集会も開催しています。特に、中国、韓国、台湾などのアジアの研究者との連携を深めると共に次代を担う若手を啓発する活動にも力を注いでいます。 さらに、次世代スーパーコンピュータ用のソフトウェア開発、最先端の光創成を目指したネットワーク、化学系研究設備有効活用ネットワークなど、全国レベルの拠点事業を中心となって推進しています。
自然科学研究機構の「大学共同利用機関って何?」の全文(PDF版)はこちらです。

大学共同利用機関は、総合研究大学院大学(略して総研大)の基盤機関として、高度な大学院教育を担っています。総研大は、神奈川県の葉山町に本部を持ち、大学共同利用機関等に大学院生を分散配置し、ユニークな博士課程教育を展開しています。
また、国公私立大学の大学院生を受入れ、大学院教育に協力しています。
|