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2020年度 先端光科学研究分野勉強会を開催しました

更新日:2021年3月15日更新

2021年2月17日、自然科学研究機構新分野創成センターが主催した先端光科学研究分野勉強会がオンライン開催されました。

先端光科学研究分野では、既存の分光学、光物性、イメージングとは異なる先端的なトピックスに触れ、分野を超えた新しい研究アイデアを得るトリガーとなることを目的とし、勉強会を開催しています。

本勉強会では、4人の先端光分野の研究者、小澤 祐市 准教授(東北大学 多元物質科学研究所)、田中 拓男 主任研究員(理化学研究所 田中メタマテリアル研究室)、猪瀬 朋子 特定助教(京都大学 物質-細胞統合システム拠点)、湯川 博 特任准教授(名古屋大学 ナノライフ研究所)が講演されました。

小澤 祐市准教授は、空間構造を持つ光の特性と光イメージング応用について講演されました。
これは、古典的な電磁気学を越えた時空間構造を持ちながら伝播する光の特徴的な諸性質を活用することにより、今までに無い時空間分解能や被写界深度を実現する新しい顕微イメージングの実現とその生命科学応用を強く示唆するものでした。

田中 拓男主任研究員は、メタマテリアル吸収体と高感度分光技術について講演されました。
メタマテリアルは、光の波長よりも小さな構造を設計して人工的に作成することで、通常には得られない特異な光学特性、例えば負の屈折率などを創出するもので、その基本原理から解説されました。メタマテリアルによる赤外吸収分光の高感度化はその応用の一つで、実際に実験的に高感度化を示した成果が紹介され、メタマテリアルの広い適用可能性の一端を示す講演でした。

猪瀬 朋子特定助教は、プラズモン導波路ナノ光源を用いた局所分光技術について講演されました。
生細胞内部に挿入可能なナノ探索針の開発により、生細胞内部の超局所領域における高感度の分光計測を実現したものでした。この技術は制がん剤の効果やがん研究等の基礎的な生命科学から医学応用への方途を拓くという画期的なものでした。

湯川 博特任准教授は、量子ナノ光学に基づく最先端イメージング計測技術の生物医学応用について講演されました。
現在、量子計測技術の生命科学応用は内外から非常に着目をされている学際的な研究分野です。特に、カドミウム不含有の新規量子ドットや窒素格子欠陥蛍光ナノダイヤモンドによる細胞内局所温度計測など、今後の応用が期待されるものでした。



本勉強会には、国内の大学・企業から62名の研究者や学生が参加し、先端的の研究内容を知る貴重な機会となりました。
また、先端バイオイメージング支援プラットフォーム(ABiS)の後援を受けました。