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自然科学研究機構シンポジウム

第20回自然科学研究機構シンポジウム Q&A

第20回自然科学研究機構シンポジウム
「生命の起源と進化」
-地球から系外水惑星へ-
(2016年3月13日開催)
講演者への質問とその回答

当日参加者の皆様から寄せられた質問に対する講演者からの回答です。


※頂戴した質問の中には、一部回答できないものがございました。ご容赦をお願いします。


Q1:木星(や土星)が小惑星をはじきとばしてその一部が地球に水をもたらしたとの説明でしたが、木星のような重力の大きな星の場合は、はじき飛ばすのではなく木星の方に引き寄せられると思いますが、はじき飛ばすメカニズムについて教えて下さい。
A1:すべての天体がはじき飛ばされるのではなく、中には木星に引き寄せられて木星と衝突するものもあります。木星も小惑星も太陽の周りを公転しているので、木星の重力で小惑星が引き寄せられるのか、弾き飛ばされるのかを簡単には説明することは難しいですが、一般的には弾き飛ばされやすいようです。
(回答者:東京工業大学・玄田英典 特任准教授)

Q2:(1)CH4などによる生命は考えられないでしょうか?
(2)海洋が44億年までさかのぼれるという話ですが、マグマオーシャンの時代など地球の冷却スケールと矛盾しないのでしょうか?
A2:(1)想像することはできますが、検証することが極めて難しいです。
(2)マグマオーシャンの冷却はとても速く、数百万年程度です。したがって、44億年前にはすでに惑星表面は固体となっており、海洋が存在していても不思議ではありません。
(回答者:東京工業大学・玄田英典 特任准教授)

Q3:惑星に大気が発生し、水が出来るための条件には、普遍性があるのでしょうか。地域だけが例外なのでしょうか。
A3:太陽系の中でも大気を持つ惑星はたくさんあります。おそらくある程度の大きさの惑星は重力によって大気を長期間保持できると考えられています。水に関しては、惑星表面上で液体として存在できる太陽からの距離はかなり限られているので、太陽系においては、地球はある程度特殊だったのかもしれません。
(回答者:東京工業大学・玄田英典 特任准教授)

Q4:小惑星帯から地球に水が供給されたという内容だったと思いますが、それは隕石が原始地球誕生直後に大量にふり注いだeventによると解釈してよろしいでしょうか。
また岩石中に含まれるHとOが集積していくときに反応してH2Oが形成されることはないでしょうか?→これはない、またはあっても少ないということですね?
A4:小惑星帯から隕石が大量に降り注いだ時期について、まだ不確定な部分がありますが、地球形成時から地球形成後にかけて降り注ぎ続けたと考えられています。また、隕石中のH原子とO原子はOH基として鉱物に取り込まれており、含水鉱物として隕石中に存在しています。
(回答者:東京工業大学・玄田英典 特任准教授)

Q5:生命はいないと主張した東大生たちの、その根拠はどのような論理でしょうか?
A5:生物が非常に精巧に作られた奇跡に近いものであることを考えると、自然に生命が発生するとは到底思えないという考えから、地球外生命は存在しないという意見がありました。
(回答者:東京工業大学・玄田英典 特任准教授)

Q6:ハビタブルゾーンの範囲について。0.9AU~1.5AUという範囲は、中心となる恒星の規模は影響しないのですか?
A6:恒星の明るさによってハビタブルゾーンの範囲は変わります。太陽はG型星と呼ばれる恒星で、例えば、太陽よりも暗いM型星の周りでは、ハビタブルゾーンは恒星に近い場所になります。
(回答者:東京工業大学・玄田英典 特任准教授)

Q7:地面が生命(地球上の生命)に必要不可欠は理由は何でしょうか。不勉強ですみませんがご教授頂けると嬉しいです。
A7:極端な話、水だけでできた惑星があった場合、生命誕生時に必要となってくる物質(主に有機物)の濃度が極めて薄くなってしまい、生命誕生には不利と考えられます。地面のような物質境界面があった方が、生命に必要な材料物質の濃縮が起こり、生命誕生に不可欠だったと考えられています。
(回答者:東京工業大学・玄田英典 特任准教授)

Q8:巨大ガス惑星の衛生が、惑星の重力による潮汐力によって、液体の水やメタンが存在してることが予想される、太陽系内の探査はどのような方法があるのか知りたい。
A8:太陽系内の探査に関しては、探査天体の周りを周回し、リモセンによって表層環境を調べる方法と、着陸船を下ろして、天体表面を詳細に調べる方法があります。また近年では、天体のサンプルを直接地球に持ち帰り、地球上で詳細に分析するという方法も行われてます。
(回答者:東京工業大学・玄田英典 特任准教授)

Q9:宇宙というのはどこまでの範囲を指すのでしょうか。クラーク数がHとOが多いというのは、地球周辺や太陽系内に限らず宇宙全体で言えることなのでしょうか。そしてそもそも原子構造というのはどこでも同じなのでしょうか。別の宇宙の存在を考えるとしたら、そこでは水以外の重要な物質がある可能性もあるのでしょうか。また、火星にも木星からH2Oが供給されえたというならば、地球でここまで生命が進化ができた、さらに細かい条件もあるのではないでしょうか?
A9:宇宙が誕生した直後は、原子はほぼすべてHとHeであり、その後、星内部の核融合で色々な原子が作られていったと考えられています。酸素は核融合で作りやすい元素であるため、一般に宇宙においては、HとOが豊富に存在します。別の宇宙でどのような物理法則が働いているのかについてはよくわかりません。したがって、水分子が別の宇宙でも重要だったかどうかについてもよくわかりません。火星は、過去に海をもっていた可能性が指摘されており、当時は生命が誕生するような環境であったかもしれません。地球上で生命がここまで進化できたのは、偶然も含めて様々な要因があったと考えられます。
(回答者:東京工業大学・玄田英典 特任准教授)

Q10:木星が存在することの必然性はどれぐらいのものでしょうか?近年、ニースモデルが注目されつつありますが、どの程度確からしいのでしょうか?
A10:系外惑星の観測から、木星のような巨大ガス惑星が恒星からある程度離れた場所に存在する確率は1%程度だということがわかってきました。したがって、木星のような存在はそれほど必然ではありません。また、ニースモデルに関しては、まだ色々と議論・検証をしなければならないことが残っている状態です。
(回答者:東京工業大学・玄田英典 特任准教授)

Q11:(1)ききおとしだと思うのですが、原始惑星円盤の話で、氷微惑星ができる周辺に岩石微惑星がないのは(少ないのは)なぜですか?
(2)内部海ができるメカニズムとしては、どのようなものがあるのですか?
A11:(1)氷と岩石が混ざった微惑星が存在していると考えられています。氷と岩石の割合としては、氷の方が多いため、我々は氷微惑星と呼んでいます。
(2)内部海ができるためには、内部に熱源が必要です。熱源の1つとして、衛星内部の岩石部分に含まれている微量の放射性元素の崩壊が考えられます。
(回答者:東京工業大学・玄田英典 特任准教授)

Q12:生命に「生があり」「命(有限)があるのは?進化的発展が望めないから有限な生命があるというのですが進化は生命が存在するための条件になる得る理由はどこにあるのですか?
A12:一般に、惑星表層環境は時事刻々変わります。例えば、隕石衝突、恒星の長期的進化・短期的な変動、火山活動などど。そのような環境変化に対応するためには生物は進化する必要があります。したがって、生物の進化は、生命が惑星上にある一定期間以上存在するために必要な条件と考えることができます。
(回答者:東京工業大学・玄田英典 特任准教授)

Q13:偏光を利用して調べる方法をもういちど詳しくうかがいたいです。
A13:円盤で散乱された中心星の光は偏光するのに対して、中心星の光は無偏光であることを利用します。直線偏光を観測する場合、一般には偏光板のような特定の偏光のみを透過させる光学素子を用います。例えば、無偏光な中心星の光を偏光板をどの方向に回転させて観測してもその強度は一定です。一方、特定の方向に偏光した円盤の場合、偏光子をその方向に一致させれば観測される円盤は最も強度が強くなります。ということは、直交する2方向に偏光板をそれぞれセットして天体を観測し、それぞれの偏光板の回転で取得した画像を引き算することで、無偏光な星の光は理想的には残差はゼロになり、偏光した円盤はシグナルを取り出せることになります。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター橋本淳 特任助教)

Q14:円盤のギャップ構造は、恒星の周りにできるものかいくつか惑星があったらその一つ一つごとに全体を見るとしま模様になっているようにできるのかどちらですか?
また、ギャップ構造はどのくらいの大きさですか?
A14:惑星の軌道に対応したギャップができますが、惑星の軌道が円盤との相互作用で変化するため、初期の段階では縞模様かもしれませんが、惑星軌道が一定ではないため、ある程度時間が経過すると恒星の周りの大きなギャップ構造になるように思われます。ギャップの外縁半径は大きいもので100天文単位以上あり、その幅も数10天文単位以上になる天体があります。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター橋本淳 特任助教)

Q15:黄道光を作るチリの中に水はないのだろうか。
A15:黄道光を構成している惑星間塵の起源としては彗星や小惑星から供給されたものだと考えられており、特に彗星は水の氷を豊富に含んでいるため、惑星間塵にも氷が含まれていることが予想されます。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター橋本淳 特任助教)


Q16:円盤内には、必ず水の元となるものが含まれているのですか。
また、円盤の中には、生命のもととなる炭素、窒素、アミノ酸なども含まれているのでしょうか。
水が生命起源のスープのような役割を果すのでしょうか。(水の中に生命のものになるものが溶けていて、何だかのきっかけで生命になる)
A16:円盤には水を構成している水素と酸素があります。また、炭素や窒素もあります。アミノ酸については、最も単純なグリシンすらまだ見つかっていないと記憶していますが、アルマ望遠鏡での探査が検討されています。生命の誕生に関して、私は生物学者ではないのでよくわかりません。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター橋本淳 特任助教)

Q17:一つの分子雲から太陽系を含むいくつかの恒星系が誕生したということは、比較的近い距離に地球のような水惑星が存在する可能性が高いということでしょうか?
2014年以降系外惑星の発見数が急増したのはなぜですか?→わかりましたK2計画ですね
A17:太陽の兄弟星であれば、きっとその兄弟星の周りには地球の兄弟惑星(水惑星)があるのだと信じて研究しています。太陽の兄弟星を探す研究も進んでいますが、距離となると数十光年以上になるため、探査機を飛ばすなどはなかなか大変そうです。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター橋本淳 特任助教)

Q18:水はどこでどのように、いつ頃、合成されたのか。単なる、水素と酵素の化合なのか。他の反応経路は考えられるのか。
A18:水(H2O)は水素と酸素、およびそれらの化合物である水酸化物イオンとの化学反応で生成されます。円盤は中心星近傍では 温度が高く、中心星から離れるにつれて温度が下がります。中心星近傍では気相中で反応が進むと考えられており、一方、中心星から離れると水素ガスなどが塵に吸着するため、塵の表面で反応が進むと考えられています。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター橋本淳 特任助教)

Q19:・円盤の模様には様々な種類があるということでしたが、それは惑星にどのような違いがあることが原因なのですか。・なぜ円盤は外側のほうが厚いのでしょうか
・ノイズが出てしまう原因は何なのでしょうか。円盤が特定の波長を吸収するのだったら、ある波長における画像を組み合わせて惑星が円盤全体の画像をつくるとかはできないのでしょうか。
A19:惑星の質量が重いほど、スパイラル構造が顕著になることが数値計算からわかってきました。逆に質量が軽いと、ギャップ構造のみになるようです。さらに軽いと顕著な構造は識別しにくくなります。円盤の厚みについては、中心星の重力の鉛直方向成分が外側ほど弱くなるため、円盤が厚くなります。3つ目の質問は、申し訳ありませんが意味がわかりませんでした。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター橋本淳 特任助教)

Q20:分子雲の水はどのようにできたのか?H2Oという形で宇宙空間にあるのか?
A20:宇宙線などで水素がイオン化することで気相で起こると反応と、塵表面で水素と酸素から生成されると考えられており、水がはじめから宇宙に存在していたのではなく、簡単な元素から化学反応を経て作られると考えられています。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター橋本淳 特任助教)

Q21:元素の構成比で水素と酸素が多いので水ができたというのはわかりました。その水の分布(太陽系内で)は一様なのでしょうか。氷として天王星、海王星、地球とばらつきがあったとすれば、そもそもの
A21:気相における水の反応はより促進されることが知られており、中心星に近い領域ほど水が多くなると考えられます。後半の質問は途切れていました。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター橋本淳 特任助教)

Q22:・分子雲の星雲はどのように違うのですか?
・原始惑星円盤中の水が、円盤内での化学進化においてできたのではないと分かった、根拠についてもう少し詳しく教えて下さい(なぜそのように考えられるかがうまく理解できませんでした)
A22:分子雲と星雲の違いについては、呼び方が違うだけで、本質的には同じもの(ガスと塵が周囲より集まったもの)になります。太陽系の水の起源については、原著論文では水そのものではなく、水を構成している水素が重水素に置き換わっている割合に 着目しています。太陽系の天体(地球の水や彗星の氷など)にある水は、その一部は水素が重水素に置き換わっており、その割合は比較的大きい(約0.1%程度の水素が置換されている)ことが知られています。よって、その比較的高い重水素/水素比を 再現できる生成機構があれば、それが太陽系の水の起源である可能性があります。そのような観点から、太陽系の重水素/水素比を 太陽のX線などの高エネルギー粒子によるガスのイオン化によって進行する化学反応で説明できるのかを数値計算した研究者がいました。数値計算の結果、太陽系内での化学進化では重水素/水素比を再現できない(約0.02%程度の生成のため1桁ほど小さい)ことが わかりました。そのような経緯から、太陽系内の水は、少なくとも系内で生成されたものではなく、母体分子雲にもともとあったものが 太陽系に運ばれた可能性があるわけです。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター橋本淳 特任助教)

Q23:(感想です)ハワイ島の天文台ツアー(星を見るツアー)ってあるのでしょうか。
遠隔操作とお聞きしましたが、その画面を見てみたいと思いました。
A23:すばる望遠鏡の見学は可能です。遠隔操作の様子は国立天文台の特別公開において見学が可能です。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター橋本淳 特任助教)

Q24:講演の中で紹介された2つの主星をもつ惑星というのはどういう軌道をとるのでしょうか?
また連星の周りを団子?惑星のことでしょうか?
恒星の中でも連星は必ずしも珍しくないと聞いたことがありますが、そうなると2つ以上の主星をもつ惑星も必ずしも珍しくないのでしょうか?
または連星の場合には惑星の出現に特別なメカニズムが有るのでしょうか?
A24:連星のまわりを、連星を大きく囲むように公転する軌道を取ります。ケプラーによる観測で既に同じような惑星が10個以上発見されていますので、宇宙にある連星の数を考えれば決して珍しくはないのかもしれません。連星のまわりでの惑星形成も、単独星のまわりの惑星形成と同じように物理を使ってシミュレーションが行われていますが、連星が十分に近ければ離れたところでの惑星形成は単独星の場合とあまり変わらないことがわかっています。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター成田憲保 特任助教)

Q25:面白い惑星、面白い発見について具体的にできるだけ多く教えて下さい。
A25:系外惑星のほとんどは太陽系の惑星とは全く違う性質を持った面白い惑星です。私の研究の中で特に面白かったのは、主星の自転と逆向きに公転している逆行惑星の発見です。太陽系の全ての惑星は太陽が自転する向きと同じ向きに公転していますので、太陽系の常識からは全く考えられない惑星でした。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター成田憲保 特任助教)

Q26:水素が温室効果の要因とご説明がありましたが、これはH2ではなくて、CH4として温室効果が生じる可能性があるといくことでしょうか?
A26:いいえ、水素(H2)そのものが強力な温室効果ガスなので、大気に水素があると温室効果が生じます。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター成田憲保 特任助教)

Q27:岡山の3.8mは地球さがしには役にたたないのですか?
A27:3.8m望遠鏡にも地球探し用の観測装置が搭載されれば地球探しの観測をすることができます。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター成田憲保 特任助教)

Q28:水があると分かったときに、どうすれば生命体の発明までつながるのでしょうか。
A28:望遠鏡で系外惑星にいる生命体そのものを発見するのは現実的ではないので、生命体が生み出す生命存在の証拠(バイオマーカー)を探すことが考えられています。何が決定的なバイオマーカーになるのかについてはまだいろいろな議論があり、引き続き研究が行われています。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター成田憲保 特任助教)

Q29:トランジット法による惑星の発見数が、2014年だけ異様に多かったように思えました。それより以前から、トランジット法は導入されていた様でしたが、なぜ2014年だけとびぬけて多いのでしょうか?
A29:ケプラーによって発見された惑星が一度に大量に発表されたためです。2016年にも1000個以上の惑星が一度に発表されました。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター成田憲保 特任助教)

Q30:最後の方のスライドに大気組成と大気の成分を使い分けていましたが、組成と成分でどのような違いがあるのですか?
A30:大気組成と言った時はいろいろな大気成分の組み合わせ、成分と言った時は個々の成分(水素、水蒸気、メタン、二酸化炭素など)を指しています。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター成田憲保 特任助教)

Q31:太陽の動く距離はどれくらいなのですか?
A31:太陽系の惑星の存在によって太陽が動く距離は数十メートル程度になります。太陽自身の大きさは1392000000メートル程度なので、太陽にとってはほんの少しになります。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター成田憲保 特任助教)

Q32:MUSCATは何の略?偶然つけられた名称なのですか。
A32:MuSCATはMulti-color Simultaneous Camera for studying Atmospheres of Transiting exoplanetsの略で、日本語に直すと「トランジット惑星の大気の研究のための多色同時カメラ」という意味です。これは岡山でMuSCATチームのメンバーが頭をひねって考えたものです。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター成田憲保 特任助教)

Q33:一つの恒星に、複数の惑星があることは、判るのでしょうか?(観測可能?)
A33:わかります。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター成田憲保 特任助教)

Q34:2014年のトランジット法発見数が多いのは何故でしょうか?
A34:ケプラーによって発見された惑星が一度に大量に発表されたためです。2016年にも1000個以上の惑星が一度に発表されました。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター成田憲保 特任助教)

Q35:2つの太陽がある惑星系はどのようにしてできたのでしょうか。そしてどのように公転しているのでしょうか。
A35:連星のまわりでの惑星形成も、単独星のまわりの惑星形成と同じように物理を使ってシミュレーションが行われていますが、連星が十分に近ければ離れたところでの惑星形成は単独星の場合とあまり変わらないことがわかっています。2つの太陽を持つ惑星は、連星のまわりを連星を大きく囲むように公転する軌道を取ります。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター成田憲保 特任助教)

Q36:TESSのサーベイは銀河面を中心とした領域のスキャンでの天体観測はしないのでしょうか?
A36:今のところ銀河面を中心とした領域の観測は検討されていません。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンタ-成田憲保 特任助教)

Q37:ケプラー衛星が白鳥座付近を観測場所にしたのは何か理由があったと思いますが何ですか?(そもそも太陽系に近い天体から捜せばよかったのではないかとも思いますが)
A37:ケプラーの目的は太陽のような恒星のまわりに地球のような惑星がどのくらいあるのかを明らかにすることで、たくさんの太陽型星を視野に含む必要がありました。太陽に近い恒星は太陽より温度がずっと低い低温度星がほとんどのため、太陽系に近い太陽型星を狙うと数が少なすぎて目的が達成できません。目的を達成するために適した観測領域としてはくちょう座付近が選ばれました。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター成田憲保 特任助教)

Q38:生きているうちに地球以外に生命体が存在することを知りたいと思います。(現在59才)TMTに期待するところ大ですが、計画では20xx年になるのでしょうか?今後の研究の成果にも期待しております。
A38:TMTは今のところ2027年頃の稼働を目指して計画が進められています。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター成田憲保 特任助教)

Q39:・トランジット法で系外惑星を探す場合、実際には多数存在するタイプの惑星だが、トランジット法ではみつけにくいために、あまりみつからないというタイプの惑星はありますか
・仮に宇宙に存在する惑星のタイプ別の割合を議論するならば、どのような方法が考えられますか?
A39:トランジット法は惑星が主星の前を通過する必要があるために、軌道が離れると確率的に発見が難しくなってきます。そのため、太陽と地球の距離を超えるような軌道にある惑星はトランジット法ではあまり見つかりません。そのため、視線速度法やマイクロレンズ法、直接撮像法などの他の相補的な方法でも惑星を探すことで、どこにどんな惑星がどれくらいあるのかを研究することができます。
(回答者:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター成田憲保 特任助教)


Q40:従属栄養に切り替える藻類について詳しく聞きたいです。

A40:細胞内にミトコンドリアを持つかどうかが重要です。ミトコンドリアは糖類を分解してエネルギーを細胞に供給しています(呼吸反応)。真核の藻類(緑藻や珪藻など)はミトコンドリアを持つため従属栄養のみでも培養可能な物が多いです。一方ラン藻は原核生物で呼吸と光合成を同じ場所で行っています。ミトコンドリアを持たないためほとんどの種が従属栄養では育ちません。
(回答者:中央大学・小杉真貴子 助教)


Q41:氷河上ではある種の藻類が居た中で、従属栄養できる程の藻類が居た可能性が高いということですか?
すると、当時の藻類はどれだけの種類があったのでしょうか。
A41:氷河上であれば光が利用できるので従属栄養になる必要はないのですが、厚い氷に覆われた海では光が利用できないので進化の過程で従属栄養に切り替えた藻類も居たかもしれません。ただ、科学的な証拠は今のところありません。当時どのくらい種の多様性があったのかはとても興味深いのですが、当時の藻類骨格は柔らかく化石として残らないので予測は大変難しいと思います。
(回答者:中央大学・小杉真貴子 助教)

Q42:全球凍結の期間はどれ位あったのでしょうか?
ストレスの長さは種の保存にどれ位の悪影響を与えますか?
従属栄養のエサは何でしょうか?
またどのように供給されたと考えられますか?
全球凍結後に進化のイベントが発生した理由はどう考えますか?(高ストレス時には進化の準備よりも種の維持にエネルギーを使うのでは?)
A42:全球凍結してからそれを脱するまで数百万年かかったと言われています。従属栄養ではグルコースといった糖類やアミノ酸などが利用されます。どのように供給されたかは具体的に思いつきませんが、生物の死骸がある程度分解される必要があるので、バクテリアと共存する必要がありそうです。全球凍結後に爆発的な生物進化と多様性が起きたことに対しては諸説唱えられていますが、高ストレス時には一部の種ではストレスに耐え得る機能の獲得やエネルギー利用の効率化が進み(あるいはそれを持っていた種が生き残り)、一方で大量の生物種が絶滅したと考えられます。絶滅した生物のニッチや生育していた空間に"空き"ができたことで、ストレスから解放された生き残り生物の進化を加速させたのではないかと考えています。
(回答者:中央大学・小杉真貴子 助教)

Q43:遷移(乾性:湿性)において、一次遷移の初期段階でコケ類や地衣類が、まず発生するといわれていますが、地衣類の中でも特にどのようなものから現れるのでしょうか。
A43:火山の噴火の後、初期に生育するのは岩にべったり張り付くタイプの痂状地衣や枝状に生えるキゴケ(Stereocaulon)やハナゴケ(Cladoniaceae)類が多いようです。
(回答者:中央大学・小杉真貴子 助教)

Q44:全体凍結は、何年ぐらい続いたのでしょうか?地衣類は、ほぼ無限に全体凍結の状態でも生きることができると考えられますか?
A44:全球凍結期間は8番を参照。地衣類は種類や保存方法にも寄ると思いますが、凍結保存1年を超えると活性が徐々に落ちていくので難しいと思います。どういう訳か藻類単体の方が長期凍結による活性降下が少ないです。
(回答者:中央大学・小杉真貴子 助教)

Q45:全体凍結のときに、休眠していたとすると、すべての生物が休眠できたのでしょうか、
例えば、真核細胞をもつ生命のが休眠できたとしたら、生命の進化はどう考えたらいいのでしょうか。
A45:全球凍結の時代、1000m程度の海氷に覆われたと言われていますが、その下の海は凍っていなかったので光を利用する生物以外は休眠せずに乗り越えた生物が居たと考えられてます。
(回答者:中央大学・小杉真貴子 助教)

Q46:少し発表の論旨とズレてしまうようで恐縮ですが、南極に生育している陸上性地衣、コケ類について、例えばクマムシの類の様に、それらの中に生息している生物はいるのでしょうか?
また、生息しているとしたら、どの様な生物なのでしょうか?
A46:クマムシやワムシはよくコケの葉の間や藻類が重なってできたマットに生育しています。地衣の中はバクテリアの住処になっていることが最近の遺伝学的な解析から分かってきました。昆虫は居ませんが、ダニはコケの中や地衣類と岩の隙間などによく見かけます。
(回答者:中央大学・小杉真貴子 助教)

Q47:全球凍結の定義とは?過去に起こった全球凍結では、海底まで凍ったのか、海の上部(?)だけなのか。
A47:地球のほぼ全域、赤道付近まで海氷が発達するくらいに寒冷化した状態を言います。浅い海は海底まで凍ったはずですが、海氷は厚いところでも1000m程度の厚さと考えられています。
(回答者:中央大学・小杉真貴子 助教)

Q48:氷期には休眠状態でじっと耐え、間氷期に活動を再会するような地衣類(またはバクテリア)は存在していないのですか?イシクラゲの話が出てきましたが、私もイシクラゲを冷凍保存して実験に使用しました。(せいぜい3年ですが...。)
A48:光合成生物に関しては、これまでのところ報告されていません。氷期になると大陸沿岸に生育するコケや地衣は氷河に削り取られて物理的に留まるのが難しいと思われます。微小なバクテリアは雪と一緒に降雪して南極大陸氷床に保存され、数万年前のアイスコアから発見されることがあります。
(回答者:中央大学・小杉真貴子 助教)

Q49:南極は、何故紫外線が強いのか?
A49:南極は低温で空気中の水蒸気が少なく上空で光が散乱され難いため、地上まで到達する紫外線が強くなります。
(回答者:中央大学・小杉真貴子 助教)

Q50:乾燥、凍結状態で生きのびる理由は、何なのか。生物が生きのびるということは、何が残るからか、条件は?
A50:乾燥、凍結状態で生き延びられる理由は、細胞内の水の消失や凍結に対して細胞の組織が障害を受けないようなメカニズムを持っていることが挙げられます。特に膜脂質組成や不凍タンパク質が重要です。高等植物では種子で休眠しますが、極域に生育する藻類や蘚類、地衣類は再び水が供給された時に即座に光合成を再開できるようにそのままの姿で休眠します。地衣では乾燥したものに水をかけると秒単位で回復が見られます。
(回答者:中央大学・小杉真貴子 助教)

Q51:乾燥凍結状態で億単位保存可能なのか?
A51:実証できないので何とも言えませんが、3万年前の高度好塩菌(Halosimplex carlsbadense)が岩塩内で保存され生きていたという話があるので、可能性が無くは無いと言ったところでしょうか・・。
(回答者:中央大学・小杉真貴子 助教)

Q52:極地だと一日中光があたらない期間があると思いますが、その間どうやって、藻類とかは生き延びているのでしょうか。
A52:極地に生育する藻類は低温になると代謝を抑え、あるいは完全に停止して休眠状態となり極夜時期を乗り越えています。夏の間に一年分の栄養を蓄えています。
(回答者:中央大学・小杉真貴子 助教)

Q53:(1)どちらかと"地味な"地衣類に興味を持たれ研究のテーマとしたきっかけは何だったのでしょうか?またこのテーマは実生活で何かつながる点はあるのでしょうか?
(2)全球凍結がなければ地球は今だに単細胞生物が繁栄しているとも言われていますが、全球凍結による単細胞→多細胞への変化のメカニズムはどのようなものだったのでしょうか?
A53:(1)研究のテーマとしたきっかけは当時の研究室のボスの影響が強いですが、「2つの生物が共生することでストレス環境に適応している」というストーリーが、生物進化学的に興味深かったからです。基礎生物学の分野ですので、人間を含めた地球上の生命現象や進化を理解する上で役立つ研究を目指していますが、その過程で例えば優れたストレス耐性メカニズムが解き明かされれば、応用生物学の分野で農業植物に応用するなど実生活に繋がる研究に発展することも考えられます。
(2)全球凍結後の酸素濃度の上昇が、より高い呼吸量を必要とする多細胞生物の出現を促したという説が知られていますが、何故酸素濃度が急激に上昇したのかについてはまだ分かっていないようです。単細胞が多細胞に進化する過程も謎ですが、菅原先生の人工細胞の研究が解き明かしてくれる日が来るかもしれません。
(回答者:中央大学・小杉真貴子 助教)

Q54:・地衣類は緑藻に比して、紫外線によって光合成活性が、低下しにくいという話がありましたが、これは、光呼吸として解釈してよいですか。(メラニン等によって、UVによって細胞が傷つけられるのを防いでいるということは考えられませんか?)
・従属栄養的にふるまう光合成生物には、藻類以外のものはいますか?
A54:地衣類が紫外線に強いのは、共生菌の生成する紫外線吸収物質や菌体そのものが紫外線を吸収して藻類を紫外線から守っているからです。遮光物質としてメラニンを合成している地衣菌も存在します。ミトコンドリアを持つ真核の光合成生物(藻類、蘚苔類、シダ、高等植物)の多くは従属栄養でも成長しますが、被子植物は光に当てないと光合成色素を合成せず白色になることが知られています。
(回答者:中央大学・小杉真貴子 助教)

Q55:今日一番興味を持ちましたが、少し難しかったです。本や論文などで読むことはできますか?
A55:化学 67巻2月号,43-49「人工細胞の夢ついに達成?!--生命の起源に迫る第一歩--」が分かり易いと思います。
バックナンバーを入手されるか、図書館で閲覧してみてください。事務局に総説を送っておきます(※)。
また、神奈川大学菅原正のホームページを開いていただくと,左上の研究内容のところに解説と動画があります。
資料をご希望の際はメールアドレスまでご連絡ください。
(回答者:神奈川大学・菅原正 教授)

Q56:地球の歴史(40億年弱)と宇宙の歴史(130億年強)の時間の違いで生命の創出の計画性に違いは有るのでしょうか?
A56:地球といえども今の状態になるまでには、ビッグバーンから数えれば同じ年月が経ったともいえます。時間の違いというよりも、環境の違いが大きいのではないでしょうか。生命誕生の環境が整うまでの時間は、宇宙のどの銀河に属する天体かで異なると思いますが、環境が整ってから生命誕生までは、意外に似た過程を経る気がします。生命の起源というと、地球上の生命の起源に囚われがちですが、地球外の生物は全く異なる物質で出来ているかもしれません。しかし、構成的アプローチは、物質にこだわらず生命の本質に迫ることが出来るという利点があります。
(回答者:神奈川大学・菅原正 教授)

Q57:(1)人工細胞が分裂する際に、DNAのコピーエラーはあるのでしょうか?
(2)何度まで分裂できるのでしょうか?
A57:(1)我々の人工細胞のPCRでは、鋳型DNAと同じ鎖長のDNAを複製するよう昇降温度や酵素を最適化してあり、コピーエラーは起こりにくいと思います。しがし、何回も分裂していれば、エラーが出る可能性はあります。その場合はむしろ積極的に、より高い増殖率を導くDNAが出来るよう工夫をしてみたいと思います。
(2)今のところ分裂は5回ぐらいですが、条件を整えるともっと分裂回数は増えると思います。
(回答者:神奈川大学・菅原正 教授)

Q58:ベシクルと阪大の四方(よも)先生のリポソームと同じと考えてよろしいでしょうか?
フローサイトメトリーとセルカウンターは同じ原理で働く機器ですか?ベシクル内でアミノ酸の合成はまだ実現していないのですか?
A58:1)ベシクルとリポソームは同じと考えてよいです。四方先生の研究は、細胞内の遺伝子、タンパク質を精製し、それをリポソームの中にいれて、ある特定の機能を発現させる研究をされています。私はできるだけ生体物質を用いずに、基本的な有機分子や高分子で生命と相同の機能をもつシステムを作り出すというアプローチで、生命とは何かを探る研究を行っています。2)いえ、違います。フローサイトメトリーは、微粒子(ベシクル)にレーザーを照射し、一つ一つのベシクルからの散乱光や蛍光を測定し、夫々のベシクルの性質を測る装置です。3)まだ、行っていません。むしろタンパク質に当たる機能を、どうしたら小分子や高分子の協同作業で実現できるかに興味を持っています
(回答者:神奈川大学・菅原正 教授)

Q59:生命の起源を物質レベルから解明しようとしている点がすばらしい。
A59:私どもの研究の趣旨をご理解いただき有難うございます。今後、DNAを高分子で置き換えるなど、さらに原始細胞と呼ぶにふさわしい系にしていきたいと思っています。
(回答者:神奈川大学・菅原正 教授)

Q60:・L型細胞の話がありました。タンパク質による分子機構ははたらかないとのことでしたが、
(1)DNAなどの重要な分子をどのように分裂でできる、2つの細胞に入るようにするのか
(2)このような分裂方法を用いる適応的な意義は何か。教えていただければ幸いです。
A60:(1)分配するDNAの量は、近似的には分裂する細胞の体積比によると思います。そのばらつきを押さえ込み、DNAを等分割するための複雑な仕組み(紡錘体の中央に遺伝子を並べ、微小管で両極に引っ張っぱり、収縮環で絞る)は、長い時間を掛けて発達した結果と考えられます。
(2)他の生物に感染して増殖に適した環境を確保した際には、ともかく迅速に増殖するという原理が優先するのではないでしょうか。
(回答者:神奈川大学・菅原正 教授)

Q61:シミにハネを作る遺伝子があるとすると、進化論的にはどう説明されますか?
A61:祖先的な無翅昆虫では、翅形成以外の機能を担っていると考えらます。現在、その機能の解明するための研究に取り組んでいます。
(回答者:自然科学研究機構 基礎生物学研究所 新美輝幸 教授)

Q62:高校の科学と人間生活で生態系への保全、キーストーン種というのを学習させます。テントウ虫をキーストーン種として、羽をとることによるピラミッドはどのように変化するのか例をあげて話して頂けると高校生に話をすることができます。お願いします。
A62:今回の翅なしテントウムシの話は、生態系の保全とは全く関係がありません。
(回答者:自然科学研究機構 基礎生物学研究所 新美輝幸 教授)

Q63:味がまずい。まずくないの判断はどのようにして行われているのですか。
A63:捕食者の味覚によって判断されます。
(回答者:自然科学研究機構 基礎生物学研究所 新美輝幸 教授)

Q64:RNAi法でできたハネなしテントウムシは次世代のハネはどうなるのですか?
主をこえて同じ擬態が存在する理由は偶然なのでしょうか?
遺伝子が水平移動していることは考えられますか?
A64:正常に翅が形成されます。偶然生じた突然変異によるもので、遺伝子の水平移動ではありません。
(回答者:自然科学研究機構 基礎生物学研究所 新美輝幸 教授)

Q65:「はねのなしテントウムシ」が交尾によって次世代も出来るのですか。次世代もはねがないのでしょうか?
その場合、はねなしテントウムシがはねありテントウムシをりょうがし、「テントウムシ生態系進化系」をほうかいしてしまうのか心配です。後尾をしても次世代が出来ないとしても、有はねx無はね→無はね→となり、いずれもテントウムシを含む生物体全体が変更するのが心配です。
A65:RNAiによって得られた翅なしテントウムシの次世代は、正常な翅を形成します。
(回答者:自然科学研究機構 基礎生物学研究所 新美輝幸 教授)

Q66:テントウ虫の翅の模様を作る遺伝子名は何でしょうか。
また、どの程度の塩基数があるのでしょうか?
配列は決定されているのでしょうか。
他の生物種でも、このような表現形質を支配する遺伝子は解明されようとしているのでしょうか。
A66:翅の模様を作る遺伝子については、現在解析中です。
(回答者:自然科学研究機構 基礎生物学研究所 新美輝幸 教授)

Q67:アブラムシ対策のために改良されたテントウムシは、沖縄のマングースのように異常に増えて、環境をおびやかす可能性はないのかどうか気になりました。
A67:ナミテントウを生物農薬として輸入したヨーロッパやアメリカでは、増えすぎて在来種の生存を脅かすことが問題になっています。
(回答者:自然科学研究機構 基礎生物学研究所 新美輝幸 教授)

Q68:ナミテントウの前翅の変異は遺伝子的要因によるものであり、黒が優性であるとのことでしたが、そうすると、黒い地に赤の三班型のタイプが少なくなっていってしまう様な気がするのですが、どうなのでしょうか?
また、その場合、ヘリグロテントウノミハムシの様式擬態はあまり効率的でない様に思えるのですが、なぜわざわざ総個体数の少なそうなもように擬態するのでしょうか?
A68:翅全体の斑紋パターンが遺伝するため、世代を経るごとに黒い領域が増えていくことはありません。
(回答者:自然科学研究機構 基礎生物学研究所 新美輝幸 教授)

Q69:昆虫の化石はなぜ少ないのですが?(個体数は多いのに)
A69:昆虫の外骨格は化石として残りにくいからです。
(回答者:自然科学研究機構 基礎生物学研究所 新美輝幸 教授)

Q70:キイロショウジョウバエVgでテントウムシの翅が形成されるのですか。翅なしテントウムシにも負の動起性を持ちますか?翅なしが子孫を残すことはできますか?(交雑も含めて)それには翅はありますか?
A70:テントウムシでショウジョウバエのvgを発現させれば、テントウムシの翅が形成されと考えられます。翅なしテントウムシも負の重力走性はあります。翅なしテントウムシは子孫を残すことができます。翅は正常に形成されます。
(回答者:自然科学研究機構 基礎生物学研究所 新美輝幸 教授)

Q71:エラが昆虫のはねになったという説をネットでみたのですが先生はどう思いますか?
A71:現在、この仮説の検証を試みています。
(回答者:自然科学研究機構 基礎生物学研究所 新美輝幸 教授)

Q72:DNA組みかえでないのならば、羽無テントウムシ同士の子供には羽がはえるのですか?
A72:その通りです。
(回答者:自然科学研究機構 基礎生物学研究所 新美輝幸 教授)

Q73:Vg遺伝子を阻害する2本鎖RNAはどのように作られてのか。ゲノム分析をもとにしているのかな。
A73:クローニングしたvgcDNAの配列に基づいて、RNA合成キットを用いて合成しています。
(回答者:自然科学研究機構 基礎生物学研究所 新美輝幸 教授)

Q74:生物農薬のデメリットは?ホ乳類に羽がないのは?無害な虫がわざわざ有害な虫に似せる...というのはお互いの間になんらかのコミュニケーションがあったのかと思ってしまいます。それについてはどう思われますか?
A74:生物農薬は生き物なので、長期保存が困難なことです。哺乳類のコウモリには羽があります。捕食者による選択圧により生じたもので、そのようなコミュニケーションは一切ないと思います。
(回答者:自然科学研究機構 基礎生物学研究所 新美輝幸 教授)

Q75:昆虫の敵が鳥で、生存率を上げるため、ギタイが発達したとのことですが、鳥が出現する前の昆虫はギタイはなかったということでしょうか。
A75:視覚が発達した捕食者が存在していれば、擬態が生じていたかもしれません。
(回答者:自然科学研究機構 基礎生物学研究所 新美輝幸 教授)

Q76:個人的には昆虫は地球上で現れた生き物とは思えません。あまりに異質でその能力に驚くばかりです。TVで花力ユキリの番組がありましたが、フェロモンでハチをおびき寄せいる能力など簡単に進化の2文字で説明するのは安易かなと思われます。先生のお考えをいただければありがたいです。
A76:自然選択の結果、生じたものと考えています。
(回答者:自然科学研究機構 基礎生物学研究所 新美輝幸 教授)

Q77:(1)Vg遺伝子の話がありました。無翅類のシミにもあるということでしたが、シミでの機能は側背板の形成でしょうか?
(2)また、シミの次に有翅昆虫に近縁なイシノミにもVgはあるのでしょうか?
(3)Vg遺伝子は、どの遺伝子が変異することで獲得されたのですか?
A77:(1)現在解析中です。
(2)あります。
(3)vg遺伝子の起源となる遺伝子が何かは分かっていません。
(回答者:自然科学研究機構 基礎生物学研究所 新美輝幸 教授)

Q78:植物にRNAi法を使うと、虫に食べられにくい作物を作れるのでは?
A78:その通りです。
(回答者:自然科学研究機構 基礎生物学研究所 新美輝幸 教授)