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自然科学研究機構シンポジウム

第12回自然科学研究機構シンポジウム Q&A

第12回自然科学研究機構シンポジウム
知的生命の可能性―宇宙に仲間はいるのか3―
(2012年3月20日開催)
講演者への質問とその回答

当日参加者の皆様から寄せられた質問に対する講演者の先生方からの回答です。


質問と回答

※頂戴した質問の中には、一部回答できないものがございました。ご容赦をお願いします。


Q1:原爆投下や福島、チェルノブイリ原発事故は系外から検出可能なのでしょうか。
A1:Elliot(1973)によれば、核出力1.4メガトンの核爆発による瞬間的なX線の増加が等方的に伝搬するとすると、検出できるのは400天文単位くらいまでだそうです。福島の事故では、核爆発そのものが起こった訳ではないのでそのような増光は見られません。また、核爆弾でも原発事故でも、さまざまな元素の放射性同位体が飛散しますが、惑星のシグナルとしては弱いので、系外からの検出は難しいと思います。
(回答者:東京大学・藤井友香先生)


Q2:電磁波以外で情報伝達が可能でしょうか。
A2:単純に、(宇宙船や隕石などのような)マクロな物質で直接運ぶということは考えられます。ただ、たとえ技術的に可能でも、運搬にかなりの時間がかかるので、現在のヒトよりはるかに長寿命の生命でないといけません。他に、陽子などのミクロな粒子や重力波でも宇宙空間を伝搬できます。コントロールするとなると難しいでしょうが。
(回答者:東京大学・藤井友香先生)


Q3:地球では多くの植物が緑色ですが、系外惑星でも緑色になりうる可能性は高いのでしょうか。主星の光に影響を受けてということはあるのでは?
A3:植物の葉が緑に見えるのは、葉の中の光合成色素が相対的に青や赤の色をよく吸収するからです。このようなシステムが、入ってくる光(太陽光)のスペクトルに合わせて適応・進化したものならば、主星のスペクトルによって植物の色が変わる可能性は十分に考えられるでしょう。
参考:日経サイエンス 2008年7月号

(回答者:東京大学・藤井友香先生)


Q4:生命活動にとって不可欠のリン(P)をバイオマーカーとして利用する可能性はあるのでしょうか?
A4:リンは確かにわたしたちの生命活動に必須の物質ですが、代謝の結果外に排出される物質ではないため、今の地球の生命のような生命ですと、リンはバイオマーカーにはならないでしょう。
(回答者:東京大学・藤井友香先生)


Q5:コンクリートやアスファルト等の人工物(特に光の反射が強そうな物)も光のスペクトルで見つけられる?
A5:たしかにコンクリートやアスファルトには固有の質感がありますが、他の様々な自然の物質と著しく異なる特性がないと、系外から人工物を同定するのは困難です。
(ちなみに、現在の地球の場合は、人工物に覆われた面積は0.1%程度なので、たとえ人工物の反射特性に際立った特徴があったとしても同定は難しいでしょう。)
(回答者:東京大学・藤井友香先生)


Q6:今回のお話では酸素や窒素、メタンといったものをバイオマーカーにということでしたが、惑星における物質循環からバイオマーカーを探す時にイオウは難しいのでしょうか?(火山ガス等に含まれるのでCO2同様かもしれませんが、酸素非発生型光合成も微生物には確認されているため、バイオマスを考えるとどうかと思ったのですが)
A6:たしかにイオウも地球の生命圏で重要な役割を果たしていますが、おっしゃっているように、火山ガスなど非生物過程との区別が難しいです。
(回答者:東京大学・藤井友香先生)


Q7:平衡のズレの推移を追うためには長い年月(100年~1000年~の年月スケール)がかかるが、実現可能性をどう考えるか。
A7:バイオマーカーとして平衡からのズレを探すといったのは、非平衡状態(手を離すと実現しなくなる状態)にある大気を探すという意味で、推移を追うという意味ではありません。
(回答者:東京大学・藤井友香先生)


Q8:阿形先生のご提案(Biomarkerとしての脳波の利用)についてお考えがあれば教えてください。
A8:大変面白いお話でしたが、系外からの検出は難しいと思います。
(回答者:東京大学・藤井友香先生)


Q9:知的文明とは、定義次第で変わるのではないか?
A9:ここでは星間通信が出来るくらい以上を想定するのがリーズナブルと思っています。
(回答者:平林久先生)


Q10:図解にして円を(銀河の写真上)半径1000光年/1万光年とおっしゃっておられました。
念のためですが、直径では無く、半径で間違いないのでしょうか?
A10:半径のつもりです。
(回答者:平林久先生)


Q11:SKAの費用は誰が出す?運営は?
A11:参加国が出費して、参加国からなる運営委員会で。
(回答者:平林久先生)


Q12:SKAのアレイ数列は技術てきですが、フィボナッチ数列を利用したものでしょうか?
A12:いいえ。(回答者:平林久先生)


Q13:阿形先生のご提案(Biomarkerとしての脳波の利用)についてお考えがあれば教えてください。
A13:これも信号として乗せられ受信できるのですから、やってみてもいいと思います。ただし、私は論理的な情報や絵などを意識していました。
(回答者:平林久先生)


Q14:明らかに信号と判断できる基準などはあるのでしょうか。「コンタクト」では素数でしたが。
A14:明らかな基準はないと思いますが、自然に分かると思いますが。
(回答者:平林久先生)


Q15: ・電波以外の通信についての可能性はありますか。量子通信等。
・地球外文明が見つかった場合の人類の取るべき行動は。
A15:電波以外の通信可能性もありうると思います。光も。量子通信のこの際のメリットはわかりません。
(回答者:平林久先生)


Q16: 意図的なビーコンを出す文明は、長期文明であるとのお話をされておりましたが、本当に長期の文明であれば、系外から捕捉されるのを避ける為、また、エネルギーを節約する為に、ビーコンを出さなくなるということは考えられないでしょうか。人類もビーコンを発信するようになりましたが、長期文明かどうかは、まだ、分からない段階だと思います。
A16:長期文明には、ビーコンを出すものも出さないものもあるかもしれません。出す相手を相手にするしかありません。
(回答者:平林久先生)


Q17: 個人的には、天の川銀河系に知的生命が存在する(あるいは、過去に存在した)可能性があるとは思いません。対象は系外にあると思いますが、その場合、総数が少なすぎたり、文明が比較的最近になって誕生したならば、宇宙の拡大速度も考慮に入れると捜すアテはなくなると考えられます。その場合、SETIの活動は終わってしまうのでしょうか?色々捜索したけどわからなかったという事こそが最大の収穫になるのでしょうか。
A17:宇宙が悲観的な状況であれば、そういうこともありうると思います。
(回答者:平林久先生)


Q18: 知的文明が発信していると思われる電波を受信を行う探査ですが、我々地球人が知らないだけで、本当は全く違った媒体で発信している考えはないのでしょうか。もし、別の通信媒体を使用していたら、地球人としていつまでも探し当てられない気がします。あと、超高度知的文明が既にあって、地球へ飛来している話(ロズウェル)はよく聞きますが、宇宙誕生の歴史から見て、知的というのはどのレベルの文明を考えているのでしょうか。
A18:電波以外の通信可能性もありうると思います。光も。これからも他の可能性が妥当であるかを予測する必要があります。
知的というのは、星間通信ができるレベル以上というのがリーズナブルな仮定と思います。
(回答者:平林久先生)


Q19: ヒドラに脳の前駆体を作りだしても、それが組織化されなければ、脳と言えるほどの情報処理はできないのではないか?神経細胞が多数集合すれば、自然に高度に情報処理ができるよう、組織化してゆくものなのでしょうか。
A19:ご指摘はごもっともです。集まれば良いわけではなくパターン形成が必要と思います。しかし、最近になって、iPS細胞から眼を作る研究では、眼の組織が一旦できれば、眼の形を組織だって作ることがわかり、われわれが思っている以上に細胞は賢いことが示されています。
(回答者:京都大学・阿形清和先生)


Q20: 生徒からの質問で、プラナリアを切断すると痛みをかんじるかというものがありました。「脳があるから痛いはずだ」と答えました。正しいでしょうか。
A20:多分痛いのではないかと察しますが、現段階では証明するすべがありません。
(回答者:京都大学・阿形清和先生)


Q21: 会社等ではマルチな人間が求められるが、一芸にひいでた人を適所に配置した方が良いのか・・・
A21:生物学者は多様性の重要性を認識しており、マルチと一芸の両方の組み合わせが大切と思っています。
(回答者:京都大学・阿形清和先生)


Q22: 人間のサーバーはパンクしないのでしょうか?
A22:脊椎動物の脳の進化では大脳の増大が特徴的なのでサーバー容量をひたすら増やしたものと思われます。が、一方で、短期記憶から長期記憶に移すときに選別がかかっているようなので、限られた容量の中で効率よくデータを納めることもしているようです。
(回答者:京都大学・阿形清和先生)


Q23: 脳だらけで脳が大きくなる(増える)と知能は向上するのでしょうか?
A23:プラナリアでは頭部以外にも脳ができることで混乱を生じて、わけのわからない動きを示します。
(回答者:京都大学・阿形清和先生)


Q24: ヒドラで「脳」を形成する実験を行われているとの事ですが、その場合、神経細胞を増量した事になるか?
それとも等量を一極集中させた事になるのでしょうか?
A24:等量を一極集中にするつもりで実験は組んでいます。
(回答者:京都大学・阿形清和先生)


Q25: プラナリアには記憶・学習・脳波まであるとのことで、驚きました。すると、

  1. 体を分割すると記憶や学習はどうなるのか。
  2. 脳波があるということは覚醒と睡眠の違いまであるのかということが気になりました。

特に覚醒状態があるとすれば、それは自意識の存在につながるので興味深いと思います。
A25:切断後に新たに再生した脳に一部記憶が残っているという研究があります。それらの追試も含めて、自意識の起源を知りたくて京大の法学部から学生が研究しに来ています。乞うご期待。
(回答者:京都大学・阿形清和先生)


Q26: 説明してたらすみませんが、脳(目)だらけになったプラナリアは混乱などはおこらないのですか?
更に目だらけになったことをぶつぶつ切ると同じ様なことが起こるのですか?それとも目が更に増えるのですか?
はじめて知った事ばかりで、それでもわかりやすくおもしろかったです!因みに前回のもとても興味深くきかせていただきました。
A26:混乱だらけになります。脳だらけのものを切ったことはありませんが、多分さらに眼が再生してくるものと予想されます。
(回答者:京都大学・阿形清和先生)


Q27: 散在神経系から、ウィルスが介在した遺伝変化によって、集中神経系が表れたと話にあったかと思いますが、ウィルスの介在なら、進化上、かなり頻度が高くて、神経系の有り方がすぐに変わってしまうのではと思いますが、どうなのでしょうか?
集中から散在神経系へ進化したということはあるのでしょうか?
A27:業界用語ではリバータントと呼ばれる現象です。突然変異したものが、元に変異することをさします。リバータントを生じても、一度変異したものが環境に有利である場合は、生殖活動を経て固定化されると考えられています。
(回答者:京都大学・阿形清和先生)


Q28: アインシュタインと一般人は脳のどの部分が異なるのですか。
A28:科学的な差は知りませんが、直感的にはそんなに大きく違うとは思えません。
(回答者:京都大学・阿形清和先生)


Q29: 脳波を検出できるということはニューロンのスパイクが同期していると考えて良いのでしょうか?
散在系からできる集中神経系は、すでに集中神経系に進化した集中神経系は同じものと想定してよいか?
A29:同期していると考えています。脳はできたときに脳だったのではないかと予想しています。が、いろいろな意見があると思います。
(回答者:京都大学・阿形清和先生)


Q30: 今後、ヒトの脳は更に発達していくものでしょうか。もし、発達していくものとなれば、どのようにして発達していくと推測されますか。あと、脳の発達によって、ヒト特有の「理性」にも何か変化は起きてしまうのでしょうか。
A30:やはり、宇宙で生活するとかなると、環境の違いによって大きな変化がでてくるのではないかと予想されます。その時にどのような選別がかかるのかによって、どういう方向進化するのかがきまるのではないかと思われます。
(回答者:京都大学・阿形清和先生)


Q31: レーザー光の検出を目指して、OSETIをされているとのことですが、もし、検出された場合、知的生命のバイオマーカーであり、自然現象と異なるという確証は得られるのでしょうか。どうしてもその点が気になりました。
A31:天然の天体から可視光レーザが放射されることはないので、発信源が天体(惑星)であることが確認されたら、その段階でほぼ間違いなく地球外文明からの発信だと考えます。さらにレーザの信号が自然界では起きないようなタイミング(例えば素数間隔)で発せられていたら確実に「発見」です。
(回答者:兵庫県立大学西はりま天文台・鳴沢真也先生)


Q32: 仮にSETIが成功した場合、社会的影響はないとのことでしたが、相手が遥かに高等であった場合でもでしょうか。数学や物理学を志す者はいなくなると思うし、宗教的ストレスなども相当であると予想できます。彼等の歴史の重みを思うと、何かの物質的知的利益を得たいと思うのも人間中心的だと思います。SETIは哲学的意義としては、大変重要であると思います。
A32:影響が少ないというのは、コンタクト・ジャパンという団体のシミュレーションによるものです。私は、その後、意見が変わりました。どの程度の距離の天体から、どういった信号が送られたかにもよりますが、私としては(少なくとも一時的には)景気回復、(特に理工系での)教育向上、軍事予算増額があると予測します。
発見後に大きなパニックは起きませんが、個人や社会への精神世界への影響(革命)は時間をかけて起きてゆくと思います。
宗教について。2012年にアトランタで開催された宇宙生物学研究会に神学者の方が参加して、発見後のメジャーな宗教に与える影響について講演されました。それによると「大きな影響はない」ということです。
(以上は、現在執筆中の著書で詳しく書きましたので、参考にして下さい)
(回答者:兵庫県立大学西はりま天文台・鳴沢真也先生)


Q33: 見つかったとして、こちらから発信するのか?誰が決めるのか?勝手に発信できるのか?
A33:発見後、関係者がとるべき行動について、IAA(国際宇宙航行アカデミー)が1989年に議定書を草案・採択しています。これによると、返信するか否かは、国際会議で決定されます。それまでに、かってに返答をすることは禁じられています。(第8条)
さらに、これに関する具体的な議定書もあります(こちらはまだ草案段階)。これによると、会議は、COPOS(国連宇宙空間平和利用委員会)および他の国家機関、非国家機関で組織され、最終的にはこの会議の勧告にもとづき国連で決定されることになっています。英文ですが、これらの議定書は以下のURLで見ることができます。
The Post-Detection SETI Protocol
(回答者:兵庫県立大学西はりま天文台・鳴沢真也先生)