イベント情報
第36回自然科学研究機構シンポジウム
ライフサイエンスデータへの糖鎖情報の統合化:生命理解の深化
木下・フローラ・聖子(きのした・ふろーら・きよこ,Kiyoko Flora KINOSHITA)
創価大学 糖鎖生命システム融合研究所 副所長
□ 略歴
1996年6月 米国ノースウエスタン大学にてコンピュータ科学の学士号と修士号を同時取得
1999年12月 米国ノースウエスタン大学にてコンピュータ工学の博士号を取得
2000年1月 台湾中央研究院 ポストドクトラルフェロー
2000年5月 米国バイオディスカバリー 上級ソフトウェア開発技術者
2003年4月 京都大学化学研究所 ポストドクトラルフェロー
2004年4月 京都大学化学研究所 助手
2006年4月 創価大学工学部生命情報工学科 講師
2008年4月 創価大学工学部生命情報工学科 准教授
2014年4月 創価大学工学部生命情報工学科 教授
2021年4月 創価大学糖鎖生命システム融合研究所 副所長
□ 講演要旨
本研究の目的は、糖鎖情報の統合化を通じて、生命の理解を深めることです。糖鎖は、タンパク質や細胞膜の表面に存在し、細胞間相互作用や生体内の情報伝達に重要な役割を果たしています。しかし、糖鎖は非常に多様であり、その解析や情報の統合が困難です。
我々はライフサイエンス分野における様々なデータソースから得られる糖鎖情報を統合するために糖鎖構造リポジトリGlyTouCanを構築しました。何方でも糖鎖構造を登録でき、化学構造として正しければIDが発行されます。GlyTouCan IDを利用することで、これまでの糖鎖関連データベースにおける複雑な糖鎖構造が容易に連携できるようになりました。
糖鎖構造の統合化が可能になったことで、関連するその他のオミクスデータとの連携もしやすくなりました。多様なライフサイエンスデータを統合化するための技術として、セマンティック・ウェブ(SemWeb)技術があります。SemWeb技術を利用することで、統一した形で多様な情報が公開できるようになります。我々もこの技術を用いて、糖鎖科学ポータルGlyCosmosを開発しました。糖鎖関連遺伝子、糖タンパク質、糖鎖関連疾患、パスウェイなどの情報に加え、糖鎖解析ツールを提供しています。GlyCosmosは国際的にも日本を代表してGlySpace Allianceの一員でもあり、これらの連携により糖鎖に関連するビッグデータができつつあります。
本研究により、生命の基本的なプロセスや病態の解明に大きく貢献することが期待できます。また、研究成果はオープンな形で共有され、生命科学研究の推進や医療の向上に寄与することを目指します。
□ 最近ハマっていること、趣味など
バイオリン2名とピアノ1名から構成された音楽ユニット「ボナミトリオ」の一員としてバイオリンを弾いています。また、余裕があれば小麦粉からパスタを手作りで作ることにもハマっています。