イベント情報
第38回自然科学研究機構シンポジウム
第38回自然科学研究機構シンポジウム講演者3
最近ハマっていること、趣味など
趣味というほどではないですが、中高生の頃からSF映画やSFドラマを見ることが好きです。あとは身の回りのことの最適化をするのが好きです。
村尾 美緒(むらお みお)
東京大学大学院理学系研究科 教授
1991年、お茶の水女子大学理学部物理学科卒業。1996年、お茶の水女子大学大学院博士課程修了、博士(理学) 取得。1996年、米国ハーバード大学にてポスドク。1996年~1999年、英国インペリアルカレッジロンドンに てJSPS海外特別研究員およびポスドク。1999年~2001年、理化学研究所にて基礎科学特別研究員。2001年、 東京大学大学院理学系研究科助教授(2007年より准教授)。2015年~、東京大学大学院理学系研究科教授。
「量子プログラミングで量子系を学習して操る」
人類は火、熱機関、電気、エレクトロニクスなど、自然を学習して操る道具を見つけることで進化をしてきました。量子の世界を自由に操ることができる量子コンピュータや、量子の特性を利用して対象を学習する量子 センサーなどの量子科学技術は、人類が発見した最新の道具です。私たちは皆、この新しい道具を操る「量子文明」の幕開けに立ち会っている当事者でもあります。
一方、一般の量子系は非常に複雑で、その特性を理解し自由に操ることは量子コンピュータを用いても困難であることも知られており、量子コンピュータが古典コンピュータよりどのようにどのぐらい優れているかということについては、未解明な点がまだ多いのです。従来の方法で量子系の学習と制御をする場合は、測定により量子系の情報を多量の古典データに落とし、古典情報処理によって学習した量子系の記述に基づいて、あらためて量子系を操る必要がありました。しかし、量子系の複雑性のために未知の量子系の完全な記述を求めることは非常に困難であり、大きなボトルネックになっていました。
そこで我々は、未知の量子系と量子コンピュータを接続して量子プログラミングを活用することによ り、量子系を量子コンピュータ内で学習して操る新しい方法である高階量子計算の仕組みを開発しています。 本講演では、未知の量子系の量子ダイナミクスを量子コンピュータ内で学習し、時間逆回しの量子ダイナミクス へと変換する高階量子計算アルゴリズムを紹介いたします。