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第38回自然科学研究機構シンポジウム

第38回自然科学研究機構シンポジウム講演者1


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山本 浩史(やまもと ひろし)
分子科学研究所 教授

1993年 東京大学理学部化学科 卒業
1995年 東京大学大学院理学研究科化学専攻 修士課程修了
1998年 東京大学大学院理学研究科化学専攻 博士課程修了 博士(理学)取得
1998年 学習院大学 理学部物理学科 助手
1999年 理化学研究所 基礎科学特別研究員
2000年 理化学研究所 研究員
2007年 理化学研究所 専任研究員
2012年 分子科学研究所 教授 
2012年 総合研究大学院大学 教授


「マテリアルサイエンスにおける量子力学」


 およそ100年前に確立した量子力学は、それまでの物質に対する見方を根本的に変えました。全ての物質は粒であると同時に広がりのある波である、という考え方は、質量のある「点」から出発する古典力学とは全く相容れないものであったからです。

 その後、量子力学によって多くの事が理解できるようになりました。それまで経験的に知られていたけれども、古典力学では説明がつかなかった「化学結合」や「半導体」といった概念も、 量子力学では見事に説明が可能でした。また、波であるがゆえの物質の性質も分かってきました。その典型例としては「トンネル効果」や「超伝導」があります。「トンネル効果」は、点であれば通過できないような壁を、波であれば通過する確率がある、という効果で、エサキダイオードの発見によって初めて実証されました。

 また最近の研究では、生命が光合成を行う過程で、こうしたトンネル効果を効率的に利用していることも分かっています。 一方、超伝導は低温である種の金属の電気抵抗がゼロになる現象ですが、これも電子が波であるがゆえの現象であることが分かっています。今では超伝導は病院にあるMRIや、リニアモーターカーなどに使われるように なっていますが、そうした便利な道具も、電子が波だからこそ可能となるわけです。

 このように、100年という 年月をかけて、量子力学が支配する現象は理解から応用へと大きく発展してきました。そして最近では、物質や光の波としての性質をさらに広く深く利用しようとする技術が次々と生まれています。本講演では、半導体開発に用いられている量子力学等にも触れつつ、新たな計算機として注目されている超伝導量子コンピューターを例に、量子力学とマテリアルサイエンスの新たなつながりを紹介したいと思います。