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第13回若手研究者賞受賞者紹介

太田 雅人 (核融合科学研究所 助教)

略歴
2013年 滝高等学校 卒業
2017年 広島大学 理学部卒業
2019年 大阪大学大学院 理学研究科修士課程修了
2022年 大阪大学大学院 理学研究科博士課程修了,博士(理学)
2022年 大阪大学レーザー科学研究所 特任研究員
2023年 核融合科学研究所 助教 

アインシュタイン"最初"の宿題

超高速計測を用いた相対性理論の可視化

 皆さんは、アインシュタインが発表した、相対性理論に関する最初の論文をご存知でしょうか?

 それは1905年に発表されたもので、タイトルは、"運動物体の電気力学について"です。この論文の中で、時間の遅れや長さの収縮といった、私たちの常識を覆す理論が提唱されたのでした。その後、様々な現象において相対性理論が正しいことが理論的・実験的に確かめられています。また、相対性理論は、GPSや原子力発電等の我々の現代生活の一部にもなりました。しかし、皮肉なことに、上述した論文のタイトル(運動物体の電気力学について)が指し示す、「電磁場の収縮」という現象の直接的な検証は行われていませんでした。つまり、アインシュタイン"最初"の宿題は一世紀以上にも渡って残され続けていたわけです。

 本講演では、この「電磁場の収縮」を超高速な計測手法を用いて可視化したという成果をご紹介します。相対性理論の写真をお見せしたいと思います。

自慢の一枚

こちらの画像は、今回の講演で紹介する研究成果のイラストです。友人にお願いをして作成してもらったものなのですが、成果を学術雑誌で発表した際に、こちらが下絵となって、発表した月の表紙絵に選んで頂くことができました(M. Ota et al., Nat. Phys. 18, 1436-1440 (2022).)。

研究者を目指したきっかけ

中学生の頃に、本を読んで、初めて相対性理論を知りました。当時は全く内容が理解できず、物理学者というのは頭がおかしいのだろうと思いました。ただ、なぜかその時に、「相対性理論を理解する」ということを人生の目標の一つに掲げることにしました。紆余曲折はあったのですが、気づいたら、相対性理論をテーマとした物理学者になっていました。

普段の太田先生はどんな人?

趣味は珈琲です。周りからは、物理よりも、珈琲の研究者なのではと言われます。珈琲の粉に湯を注ぐ時に、写真のような泡が出てくるのですが、見ていると気持ちがほっこりします。