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初代自然科学研究機構長 志村令郎先生がご逝去されました(機構長弔文)

 自然科学研究機構初代機構長である志村令郎先生が927日にご逝去されました。志村先生の訃報に接し、今はただ驚くばかりです。

 志村先生は分子生物学の研究に従事され、主にtRNAmRNAの機能解析など、遺伝子発現の分子機構の全容を解明するべく、研究者として分野の先陣を切る活躍をされて来られました。その後は自然科学研究機構の初代機構長として、200441日から6年にわたり私たちを導いてくださいました。当時は国立大学の法人化に伴い、16の大学共同利用機関が4つの機構に再編された過渡期にあたります。そのような時流の中、自然科学研究機構は5つの共同利用研究所(国立天文台,核融合科学研究所,元・岡崎国立共同研究機構(現・基礎生物学研究所,生理学研究所,分子科学研究所)が一つの法人として束ねられ、新たなスタートを切りました。自然科学研究機構を構成する各々の機関には、独自の設立経緯と歴史があります。加えて各機関は、それぞれの研究コミュニティのサポートの下、大学等に所属する研究者の共有の研究施設として運営されていました。そのような背景がある中で志村先生は、自然科学研究機構長としての組織づくりのみならず、大学共同利用機関法人の一翼の長として、新しい組織の基盤づくりと運営に尽力されました。各々の研究コミュニティの独創性を尊重しつつ、機構としての包括的な運営の基盤を形成することは、決して平坦な道のりではない、非常に険しいものであったことは自明です。困難な時代の風を真正面から受けながらも、現在へと至る道を開拓してこられた志村先生の不屈の精神には、本当に頭が下がります。

  自然科学研究機構における志村先生のご功績は枚挙に暇がありませんが、中でも特筆するべきは機構憲章の制定です。機構憲章には、「研究者の自由な発想と自律性を必須の基盤とし、新たな学問分野の開拓に努めること」「構成機関における創造的学術研究をその基本とすること」、そして「互いの研究を尊重し対等の立場で機構運営に参画すること」など、研究者の自由な発想と自律性を何よりも大切にする、志村先生をはじめとした当時の執行部の基礎研究に対する敬意と純然たる熱意が溢れています。また、自然科学研究における新たな分野の開拓と創成を目指し、機構直轄のセンターとして「新分野創成センター」を立ち上げられたのも、特筆するべき志村先生の功績のひとつと言えます。さらには、自然科学研究分野の最先端研究の面白さや素晴らしさ、その意味を広く市民の皆様へ周知するべく、立花隆氏らとともに自然科学研究機構シンポジウムを立ち上げ、最先端科学の啓蒙にも尽力されました。自然科学研究機構シンポジウムは途切れることなく現在まで継続されております。

  志村先生のご足跡は、ご自身の研究における輝かしいご功績に加え、日本における大学共同利用・共同研究システムの確かなる道標として現在も私たちと共にあり、支えとなってくださっています。最後に改めて、志村令郎先生の生前のご活躍とこれまでのご貢献に、心からの敬意と感謝を表するとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 

令和5102

自然科学研究機構

機構長 川合眞紀

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2005年7月、自然科学研究機構と欧州分子生物学研究所(European Molecular Biology Laboratory:EMBL)は連携協定を締結しました。協定は現在も継続し、基礎生物学研究所は生命科学分野での国際共同研究や連携活動を行っています。写真は、連携協定締結式で署名後の志村先生(右)と当時のEMBL所長であるIain Mattaj先生(左)。