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ひらけ科学のトビラ!Dear WONDER

講演者1: 城倉 圭

城倉 圭(じょうくら けい)
生命創成探究センター 日本学術振興会特別研究員

<略歴>
2018年 筑波大学, 下田臨海実験センター, 独立行政法人日本学術振興会 特別研究員(DC2)
2020年 筑波大学大学院, 生命環境科学研究科, 生物科学専攻 博士課程修了
2020年 エクセター大学, 研究員
2022年 エクセター大学, 独立行政法人日本学術振興会 海外特別研究員 
2023年 ウッズホール海洋生物学研究所, Grass Fellow
2023年 ベルゲン大学, サース海洋分子生物学センター, 客員研究員
2024年 現職

虹色に輝くクシクラゲの謎に迫る!
―― 脳がなくても動く、体がつながる生命の謎


 暗い海の中を、透明な体に虹色の閃光を走らせながら、静かに漂う生き物がいます。クシクラゲです。その姿は、まるで闇の中を進む小さな宇宙船のようです。でも、クシクラゲの本当の面白さは、その美しさの先にあります。虹色の光を生み出しているのは、体に並ぶ「櫛板(くしいた)」という運動装置です。櫛板は、たくさんの細胞から生えた小さな毛、繊毛(せんもう)が集まったもので、リズムよく動くことで水の流れを作りだし、泳ぐ方向を巧みに操ります。その光のきらめきは、ただの飾りではなく、推進力を生みだすエンジンそのものなのです。さらに不思議なのは、その櫛板の動きが、脳からの司令だけでコントロールされているわけではないことです。
 クシクラゲは、体全体で連絡を取り合いながら、ひとつのしなやかな動きを生み出しています。そして、2匹の体がくっつくと、まるで1つの体のように動き出します。その姿は、生命がどこから「1つ」になるのか、体がつながるとはどういうことなのかを私たちに問いかけます。

 本講演では、クシクラゲの虹色、泳ぎ、神経や感覚、そして体の融合を紹介するとともに、小さな海の生き物を入り口に、「生きている」とは何か、「自分」とはどこまでなのか、そして誰も見たことのない世界をのぞく研究の面白さに迫ります。

<研究者を目指したきっかけは何ですか?>

 高校生の頃、生物の先生の遺伝や免疫の授業が面白く、生物の資料集をずっと持ち歩いていました。大学の海の実習で先生から「いま顕微鏡で見ているものは、世界でまだ誰も見たことがないものかもしれないよ」と言われ、研究の魅力を感じました。大学院5年間、海が目の前の実験所でクシクラゲを研究し、「調べても何もわからない。こんな不思議な生き物で、一生、自分が最初の発見者になれる人生って最高だな」と思いました。