イベント情報
ひらけ科学のトビラ!Dear WONDER
講演者2: 松尾 宗征


松尾 宗征(まつお むねゆき)
広島大学 理学部 化学科/大学院統合生命科学研究科 数理生命科学プログラム 准教授
<略歴>
2019年 東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 博士課程 修了
2019年 自然科学研究機構 生命創成探究センター 特任研究員
2020年 広島大学 理学部 化学科/大学院統合生命科学研究科 数理生命科学プログラム 育成助教
2023年 東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 特任助教
2024年 広島大学 理学部 化学科/大学院統合生命科学研究科 数理生命科学プログラム 助教
2024年 東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 学術研究員(〜現在)
2024年 North Minzu University 客員教授(〜現在)
2025年 現職

生物らしさを無生物でつくる!
皆さんも「生命とは何か?」と疑問を抱かれたことがあるかと思います。この疑問にアプローチしている最たる科学分野はもちろん生物学です。しかし、宇宙規模で生命を考えるとき、地球にいる生物だけを研究していては不十分です。そこで、この宇宙であり得る生命(life as it could be)を人工的につくることで、この疑問にアプローチする研究が存在します。それが「人工生命をつくる化学」です。
生命と一言にいっても、皆さん一人ひとりで思い浮かべる生命性は異なります。もちろん、正確な答えは現時点ではありません。しかし、誰もが「生命っぽい」と思える特性をあげることはできます。例えば、我々の祖先は約40億年前に自然に発生し、現在も絶えることなく生き続けています。我々もその流れの中の一部を構成しています。この自己創発と自己維持は、分子の集まりである分子システムでは極めて稀な性質です。特に、自己維持に注目すると、食べ物を摂取し排泄する流れの中で、自己を更新しながら、自律的に回帰性を発現することで自己維持が実現されていることがわかります。自己増殖はそれが最も顕在化した生命の特性の一つです。
今回の講演では、自己創発し、自己更新、自己回帰、自己増殖する、「化学」でつくる無生物システムを紹介します。「生命っぽい化学システム」から「生物と物質のハザマ」について、一緒に考えてみませんか?
<研究者を目指したきっかけは何ですか?>
幼少時から生き物が大好きで、ゾウをはじめとした多くの生き物を飼育していました。自然と、生き物の躍動や死を目の当たりにすることが多く、「生命とは何か」に興味津々でした。それを解明するために、中高生の時には生物を人工的につくってみたいと本気で考えていました。高校生の時に読んだ「生命システムをどう理解するか」という本で紹介されていた研究にひかれ、その研究室に念願かない卒研から飛び込み今に至っています。さまざまな先生や仲間たちとのご縁もあり、中高生の自分が想像した以上の広がりの中で、新たな生命性の再現に邁進しています。