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第13回若手研究者賞Q&A
栄光へのサイエンス・ステージ2026 Q&A集
栄光へのサイエンス・ステージのアンケート等で寄せらせたご質問に対し、講演者たちから回答が届きました。先生ごとにまとめてありますのでご覧ください。
大橋先生, 釼持先生, フェン先生, 陳先生, 谷中先生
大橋先生
Q.1:
火星に生命体が存在する可能性は?
A.1:
完全に否定はできませんが、今のところ生命が存在する証拠はないです。
ただし、火星にも昔は川や地下水が流れていた可能性もあり、地球の微生物のような生命が誕生できる環境だったかもしれません。
今後も火星探査が行われるので見つかれば大発見ですね!私も期待しています!
Q.2:
惑星形成で角運動量量の移送が必要というところまでわかりましたが、何もないと思われる宇宙でどのようにしてしていくのでしょうか。どんなイメージを持てばいいのでしょうか?なんかうまく物質をばら撒くのでしょうか?
A.2:
はい、ちょっと難しいですが、まず宇宙はとても広く、「何もない」と言われると「限りなく何もないに近いけど、実はちょっとガスや塵、そして磁場がある」というのが正しいです。
宇宙は広大なので、「ちょっとしたガスや塵」が重力によって互いに引き寄せあって最終的に星や惑星を作ります。
この時に広大な宇宙ではガスや塵は完全に静止しているわけではなく、銀河にそって回転していたり、その回転が掻き乱されて乱気流のような複雑な運動をしています。この「ちょっとした運動」が星のような小さい場所に集まると大きな回転を生み出します(フィギュアスケートで手を伸ばすとゆっくり回転するけど、手を縮めると回転が速くなることと同じです)。
この時に磁場もガスに引き寄せられて同時に星の方向へねじ曲がります。
そうすると磁場は宇宙空間と星を繋げているので、回転しているガスを外側の宇宙空間へと運んでくれます。
うまく説明するのが、難しいですが、扇風機を想像してください。
扇風機は羽が回ることで風が出てきます。扇風機は羽が特殊な形をしているのですが、磁場が扇風機の羽と同じような役割をしてくれて、回転しているガスを外側へと風を吹かせている感じです。
Q.3:
恒星と惑星の存在比が1:1とのお話でしたが、太陽系には惑星が8個あります。これは太陽系が特別に惑星数の多い系だということでしょうか、それとも単に他の系で惑星がまだ十分に発見されていないだけなのでしょうか。
A.3:
はい、太陽系には惑星がたくさんありますね。これは今の望遠鏡では遠くの小さな惑星を見つけることができない可能性が高いです。
今後、大口径の地上望遠鏡や衛星が打ち上がると、もっとたくさんの、地球のような小さな惑星を見つけることができるで、実は恒星には平均して太陽の同じくらいたくさんの惑星がいると言われる日が来るかもしれません。
Q.4:
学生時代はどのように勉強していましたか?
A.4:
私の場合は参考書や学校の課題を解いて理解するようにしていました。
学校の授業では聞いてても想像したり、理解が出来ないことが多く、実際に手を動かして問題を解くことで(解法を覚えるのではなく、方針を自分で立てられるように考えながら)ようやく物理や数学の授業で言っていたことがわかりました。
ただ、十人いれば十通りの勉強方法があると思います、自分にあった勉強方法をぜひ見つけてください。
コメント:
若手研究者賞受賞、おめでとうございます。壮大な宇宙の神秘の探究、解明、今後の研究の発展を心よりお祈りいたします。
A:
ありがとうございます。今後とも精進して、宇宙の謎の解明に取り組んで参ります。
釼持先生
Q.1:
プラズマの制御がより適切に行え、核融合炉が商業ベースに乗るためには、あとどのくらいの時間と費用がかかると思いますか。
A.1:
(公の見解ではなく)個人的な見通しとしては、発電実証については2030年代を目指す計画や構想が国内外で進められています。ただし、商業ベースに乗るためには、単に発電できるだけでなく、長時間安定運転、保守、燃料であるトリチウムの確保、材料の耐久性、発電コストなどを総合的にクリアする必要があります。そのため、実際に商用電源として広く使われるのは、早くても2040年代以降、現実的にはさらに時間がかかる可能性もあると思います。費用については方式や規模で大きく変わりますが、発電実証炉や初期の商用炉は、数千億円から数兆円規模の大型投資になる可能性が高いと考えています。
Q.2:
核分裂による原子力発電とは違った核融合による発電の今後の需要はどのようなものなのか?また、デメリットは?
A.2:
核融合発電は、再生可能エネルギーだけでは支えにくい大規模で安定した電源、また将来的には産業用の熱源や水素製造などへの利用が期待されています。核分裂による原子力発電と比べると、燃料資源が比較的豊富で、発電時に二酸化炭素をほとんど出さず、核分裂のような連鎖反応による暴走が起きない点が大きな特徴です。また、使用済み核燃料のような高レベル・長寿命の放射性廃棄物は発生しません。一方で、トリチウムという放射性物質を扱う必要があること、核融合反応で出る中性子によって炉材料が放射化・劣化すること、熱を受ける材料やメンテナンス技術が難しいこと、現時点では発電コストを既存電源と同程度まで下げるには技術の成熟が必要なことが課題です。
Q.3:
熱の移動をアメフトに例えて説明されていましたが、乱流で伝わる以外の場合はどんな熱移動を想像すればいいのでしょうか?層流でしょうか?
A.3:
「層流」というイメージも近い部分はありますが、プラズマの場合は、まずは衝突による拡散的な熱輸送を想像すると分かりやすいと思います。熱が近い場所から順番に、じわじわ広がっていくイメージです。専門的には、新古典輸送と呼ばれる輸送もこれに近い考え方です。一方で、実際のプラズマでは乱流によって熱が速く運ばれることがあります。また、帯状流と呼ばれる大きな流れも重要で、これは熱を直接どんどん運ぶというより、乱流を弱めたり、流れ方を変えたりする役割を持つと考えられています。
Q.4:
反応容器内で1億度のプラズマを閉じ込める際、乱流によって熱が急速に伝わってしまうというお話でした。この伝わった熱は容器壁に到達しているのでしょうか。また、制御を失った場合、熱は自然に拡散するのか、それとも容器に接触して熱的な損傷を引き起こすのか、お伺いできますでしょうか。
A.4:
今回紹介した実験では、プラズマ内部で熱や乱流の影響がどのように広がるかを調べており、装置を損傷するような大きな熱負荷を壁に与えるものではありません。通常、プラズマの熱は最終的には周辺部やダイバータなど、熱を受けるために設計された部分へ逃がします。ただし、核融合炉のように蓄えられるエネルギーが大きくなると、閉じ込めが急に悪くなった場合に、熱が短時間で壁やダイバータなどの対向材料に集中し、損傷につながる可能性があります。そのため、異常の予兆を検知して避ける制御や、中性ガス・ペレットを入れてプラズマを急速に冷やし、エネルギーを広く分散させる対策が研究されています。重要なのは、これは核分裂炉のような暴走反応ではなく、プラズマが失われると核融合反応自体は止まるという点です。
Q.5:
非局所輸送あたりよく理解できていませんでした。もうすこし説明してほしいです。
A.5:
「非局所輸送」は少し専門的な言葉ですが、簡単に言うと、「ある場所で起こした変化が、離れた場所の熱の流れにもすぐ影響して見える現象」です。
普通の熱の伝わり方を考えると、プラズマの中心を熱した場合、中心の近くから順番に温まり、その影響が少しずつ外側へ広がっていくと予想されます。これは、お風呂のお湯を一部だけ温めると、周りへじわじわ熱が伝わっていくイメージに近いです。
ところが高温プラズマでは、中心を短時間だけ加熱したときに、離れた場所の温度や乱流が予想よりも早く変化することがあります。つまり、熱が単純に「近くから順番に」伝わるだけでは説明しにくい応答が見えることがあります。このような、離れた場所同士が関係し合っているように見える熱の伝わり方を「非局所輸送」と呼んでいます。
もちろん、熱が瞬間移動しているという意味ではありません。プラズマの中では、温度や密度の勾配、電場、磁場、乱流などが互いに影響し合っており、ある場所の変化が全体のバランスを変えることで、離れた場所の熱の流れも変化すると考えられています。私の研究では、このような「予想より早く、離れた場所が反応する」現象を、計測データから読み解こうとしています。
Q.6:
何らかの影響で磁気の制御ができなくなったらどうなるんだろ。
A.6:
磁場や加熱、燃料供給などの条件が崩れると、プラズマは高温状態を維持できず、短時間で冷えて消失します。核分裂炉のように連鎖反応で暴走する心配はありません。ただし、大型装置ではプラズマや磁場に蓄えられたエネルギーを安全に逃がす必要があるため、異常を予測して避ける制御や、ガス・ペレットを入れて急速に冷やす対策が重要になります。
Q.7:
空気みたいに流れを制御できるのかな?
A.7:
ある程度は制御できます。ただし、空気のように羽根でかき混ぜるのではなく、磁場、電場、中性ビーム入射加熱、高周波加熱、ガス供給などを使って、プラズマの回転や温度・密度の分布を変えていきます。
Q.8:
乱流が起こる原理が分かっているのかな?
A.8:
かなり分かってきていますが、まだ完全には分かっていません。主な原因の一つは、プラズマの中に温度や密度の勾配があることです。その偏りをエネルギー源として、小さな揺らぎが成長し、乱流になります。さらに、磁場構造や電場、帯状流なども関わるため、正確に予測するのは今も難しい課題です。
Q.9:
電子同士や原子同士が衝突して乱流が起こるのかな?
A.9:
単純に「粒子同士がぶつかるから渦ができる」というより、温度や密度の勾配がプラズマの動きを不安定にして、揺らぎが成長することで乱流が発生します。高温プラズマでは原子はほとんど電離しているので、主役は電子とイオンです。衝突は乱流の性質に影響しますが、発生原因の中心は勾配による不安定性だと考えると分かりやすいです。
Q.10:
「つなぎ役」の原理で宇宙の長距離通信とか、ネットワークの高速通信に利用できたらスゴイかも。
A.10:
とても面白い発想ですが、今回お話しした「つなぎ役」は、通信に使える線のようなものではなく、プラズマの中で離れた場所の変化が関係し合って見える、という物理現象です。宇宙にはプラズマがたくさんあるので、宇宙空間で電波がどう伝わるか、通信がどう乱されるかを理解する上では、プラズマ研究は重要です。ただ、今回の現象をそのまま長距離・高速通信に使える、とはまだ言えません。
フェン先生
Q.1:
細胞内のたくさんの器官の中から液胞に目をつけたのはなぜですか
A.1:
液胞に興味を持ったきっかけは、
Q.2:
液胞からの回収にSNXが関与していることが証明されているとの
A.2:
ご質問ありがとうございます。
最も端的に示しているのは、超解像ライブイメージング顕微鏡(
コメント:
若手研究者賞受賞、おめでとうございます。植物は根を下ろした位置から動かない、それでも細胞の中はダイナミックに動いていることを知りました。DNAテクノロジーから細胞生物学、発生植物学を進めるフェン先生の研究の発展を、心よりお祈りいたします。
A:
ありがとうございます。皆様からいただいたお言葉を励みに、これからも精進していきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
陳先生
Q.1:
イベルメクチンが寄生虫は死滅させ、ヒトや動物では大丈夫なのはなぜですか?
A.1:
イベルメクチンは、寄生虫の神経や筋肉に発現するグルタミン酸作動性塩化物イオン(GluCl)チャネルに特異的に結合し、細胞の過分極を誘発して麻痺・死滅へと導きます。ヒトを含む哺乳類にはGluClチャネル自体が存在しないため、通常の抗寄生虫用量においてイベルメクチンが影響を及ぼす可能性は低いです。
Q.2:
(2-1)イベルメクチンはどうやって人間と寄生虫を見分けているのでしょうか。(2-2)また正常なカリウムチャネルをナトリウムイオンが通過することはありえますか。(2-3)ナトリウムイオンのほうが小さいので、どうやってカリウムイオンだけを選んでいるのか気になりました。
A.2-1:
イベルメクチンは、寄生虫の神経や筋肉に発現するGluClチャネルに特異的に結合します。ヒトを含む哺乳類にはGluClチャネル自体は存在しませんが、構造の類似したGABAA受容体やグリシン受容体が中枢神経系に存在します。しかし、これらの哺乳類受容体に対するイベルメクチンの親和性は、寄生虫のGluClチャネルに比べて100倍から1000倍低いため、通常の抗寄生虫用量で哺乳類に影響を及ぼす可能性は低いです。
A.2-2:
正常なカリウムチャネルは、カリウムイオンをナトリウムイオンよりも1000倍以上の高い選択性で透過させます。そのため、ナトリウムイオンが通過する確率は極めて低いです。
A.2-3:
カリウムチャネルの最狭部には「選択性フィルタ」という狭い通り道があります。カリウムイオンがこのフィルタに入る際、周囲に結合している水分子を外す(脱水和)必要があります。フィルタの内側に配置されたアミノ酸残基主鎖の酸素原子が、カリウムイオンを取り囲む水分子の配置を精密に模倣するため、脱水和に必要なエネルギーが相殺され、カリウムイオンはスムーズに通過できます。一方、ナトリウムイオンはイオン半径が小さすぎるため、フィルタ内側の酸素原子まで手が届きません。そのため、エネルギー的に極めて不安定になり、フィルタを通過することができません。
Q.3:
よく見つけるというか、よくこの差で機能が変わるというか(GARK2とGARK4のキメラ実験の結果について感想)
A.3:
講演では時間の都合上、詳細な実験データを省略いたしましたが、実際にはわずか1アミノ酸残基の違いによってイベルメクチンの効果が劇的に変化します。このような微細な構造差が機能に決定的な影響を与える点は、非常に興味深い部分です。
コメント:
若手研究者賞受賞、おめでとうございます。薬品の持つ多面性とその標的の研究の重要性、GIRK2と4のホモログを比較することで、イベルメクチンの標的部位の同定、医薬品開発におけるチャネル研究の重要性、陳先生の今後の活躍を心よりお祈りいたします。
A:
温かいお言葉とご激励をいただき、誠にありがとうございます。医薬品開発におけるイオンチャネル研究のさらなる発展に向け、より一層研究に邁進する所存です。
谷中先生
Q.1 :
NMRからどうやって発表にあった抗体の動きを動画にしてるのでしょうか?
A.1:
ご質問ありがとうございます。
NMRはカメラのように直接動画を撮っているわけではありません。
NMRでは、原子一つ一つがどのくらい動いているか、また原子同士がどのような関係にあるかといった情報を測定することができます。その実験データとコンピューターシミュレーションなどを組み合わせて、抗体がどのように動いているかを「見える化」したものが、講演でお見せした動画です。
つまり、実験データに基づいて、私たちの目では直接見ることのできない分子の動きを可視化しています。
コメント:
若手研究者賞受賞、おめでとうございます。サザン(DNA)、ノザン(RNA)、ウェスタン(タンパク)、残された最後の糖鎖研究、その重要性を示した谷中先生の今後の活躍を心よりお祈りいたします。
A:
温かいお言葉をいただき、ありがとうございます。
糖鎖は非常に多様で複雑ですが、抗体をはじめとするタンパク質の機能にも深く関わる重要な要素です。今後も、糖鎖を含めた分子の構造や動きを原子レベルで明らかにし、生命現象の理解や医療への応用につながる研究を進めていきたいと思います。
励みになるお言葉をありがとうございました。
